<<< 前 2011年度 2012年度 2013年度 | 2014年度 | 2015年度 次 >>>
 放射線腫瘍科
概要 当該年度の研究費受入状況 教授・准教授・講師・助手の公的役職
教授・准教授・講師・助手の学会・研究会の役員 学術雑誌 著書
学会発表


教授:
   三橋 紀夫
   秋元 哲夫
講師:
   前林 勝也
助教:
   泉 佐知子
   清塚 誠
   中村 香織
   橋本 弥一郎
   村松 博之
■ 概要
1.特徴
放射線腫瘍学は外科腫瘍学や内科腫瘍学と同様に、臨床腫瘍学の一分野であることから、ただ単にがんの放射線治療を行う放射線治療医(Radiation Therapist)で満足することなく、がんの予防学、癌の分子生物学、腫瘍病理学、腫瘍画像診断学などを理解した上で、放射線治療を武器として治療にあたる放射線腫瘍医 (Radiation Oncologist)たらんと研鑚を積んでいます。放射線治療は手術、化学療法と並ぶがん治療の三本柱の一つですが、機能温存の面で優れており、放射線治療に対する期待は、年々増加しています。放射線腫瘍学講座はわが国の放射線治療をリードしている講座の一つであり、これまでも指導的役割を果たしてきましたが、放射線腫瘍医の数はまだまだ不足しており放射線腫瘍医の育成にも力を入れています。
2.放射線治療の対象疾患
放射線治療に主体をおいて年間約900人の悪性腫瘍患者の治療を行っています。主な対象疾患は、頭頸部癌、食道癌、乳癌、子宮頸部癌、脳腫瘍、悪性リンパ腫、肺癌、前立腺癌などの悪性腫瘍で、一部の良性疾患(ケロイドなど) に対する放射線治療も行っています。特に神経膠腫や小児脳腫瘍に対する放射線治療の患者数は日本で最多を誇っています。これらの疾患の根治治療に加えて脳転移や骨転移などのがんの症状緩和の治療も行っています。また、前立腺腫瘍センターを設立して、泌尿器科、病理科とともに全例を検討した上で治療方針を決定しています。
3.当科に設置されている放射線治療関連装置
・CTシミュレータ:1台
・X線シミュレータ:1台
・高精度放射線治療用ライナック:3台
(体幹部定位照射(SRS・SRT)や強度変調放射線治療(IMRT)対応:3台.うち1台は画像支援放射線治療(IGRT)にも対応)
・密封小線源治療装置:2台
 (高線量率Ir-192線源用治療装置:1台、密封小線源永久挿入用治療装置:1台)
・治療計画装置:4種類
4.当科で施行している高精度放射線治療
定位放射線治療(肺癌)
強度変調放射線治療(頭頸部癌、前立腺癌)
画像誘導放射線治療(前立腺癌)
放射性ヨウ素永久挿入術( 前立腺癌)
5.放射線腫瘍学に関する研究(大学院)
1.難治性腫瘍に対する集学的治療法の開発
  難治性腫瘍を対象に、正常組織への照射線量を減少させつつ腫瘍組織の線量集中性を高めることや腫瘍の存在部位の判定の精度を上げることで局所制御率を向上させる放射線治療法の確立を目指すとともに、生物学的手法によって分子生物学的薬など最適な薬剤の種類やその併用のタイミングについて研究している。
2.高エネルギーX線を用いた高精度放射線治療法に関する研究
  インバースプランを用いて線量計算を行い、作り上げた放射線治療計画をコンピュータ制御下にマルチリーフコリメーターを駆動させ、正常組織への照射線量を減少させ、腫瘍組織に線量を集中させて局所制御率を向上させる強度変調照射法の確立と発展をめざして、基礎的ならびに臨床的研究を行い、この治療法の対象疾患ならびにその至適な線量分割と治療計画の方法について物理的・生物学的アプローチで研究している。
3.時間軸を考慮した4次元高精度放射線治療法の開発
  強度変調放射線治療や体幹部定位放射線治療などの高精度放射線治療は、治療精度が高いゆえに呼吸性移動や臓器移動の影響を強く受けてしまう。まずは、時間軸を加味した4次元放射線治療計画法による臓器移動を考慮した線量分布作成法を開発し、この治療法の臨床応用に向けて開発研究をしている。
4.放射線感受性の決定に関わる分子標的の探索
  がんの個別化放射線治療に向けて、腫瘍組織ならびに正常組織の放射線感受性を決定している分子を明らかにすべく、分子生物学的手法を用いて基礎研究を行っている。また、放射線による遅発性有害事象発症の一因である血流障害の分子生物学的メカニズムを解明し、有害事象に対する治療法の開発を目指している。
5.遅発性放射線有害事象の発症メカニズムについての基礎的検討と治療法の開発
  放射線治療の局所制御率の向上を図るためには照射線量を増加させることが必要である。しかし、線量を増加すると遅発性放射線有害事象が問題となる。そこで遅発性放射線有害事象の発症メカニズムを基礎的に明らかにし、予防策を開発すべく研究を行っている。
日本医学放射線学会放射線科専門医、放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定)、がん治療認定医
東京女子医科大学大学院医学研究科放射線腫瘍学分野
のホームページもご覧ください。
全件表示(7件)
ページの先頭へ
■ 当該年度の研究費受入状況
1.  国立がん研究センター がん研究開発費23-A-21
 研究課題:放射線治療を含む集学的治療の研究  (研究分担者:三橋紀夫)
 研究補助金:200,000円  (分担)
2.  文部科学省科学研究費補助金
 研究課題:悪性神経膠腫の治癒向上を目指し照射法探索のための基礎と臨床の融合型研究  (研究代表者:前林勝也)
 研究補助金:2,340,000円  (代表)
ページの先頭へ
■ 教授・准教授・講師・助教の公的役職
1.  三橋紀夫 :文部科学省独立行政法人評価委員会臨時委員
ページの先頭へ
■ 教授・准教授・講師・助教の学会・研究会の役員
1.  三橋紀夫 :日本放射線腫瘍学会代議員, 日本小児血液・がん学会評議員, 日本癌治療学会代議員, 日本ハイパーサーミア学会評議員, 日本頭頸部癌学会理事・評議員, 日本食道学会評議員, 日本放射線腫瘍学会生物部会常任幹事, 国際癌治療増感研究会常任理事, 特定非営利活動法人日本放射線腫瘍学研究グループ理事長, 日本婦人科腫瘍学会評議員
2.  前林勝也 :日本放射線腫瘍学会代議員
ページの先頭へ
■ 当該年度研究業績数一覧表
学術雑誌 著書 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
筆 頭Corresponding
Author
共 著筆 頭Corresponding
Author
共 著 筆 頭共 著筆 頭共 著 演 者共 演演 者共 演 演 者共 演
 3 3 7 1 0 11  0 11 0 0  6 15  1 3  0 0
ページの先頭へ
■ 学術雑誌
原著
1. SUGIYAMA T, FUZIWARA K, OHASHI Y, YOKOTA H, HATAE M, OHNO T, NAGAI Y, MITSUHASHI N, OCHIAI K, NODA K:  Phase III Placebo Controlled Double Blind Randomized Trial of Radiotherapy for Stage IIB - IVA Cervical Cancer With or Without Immunomodulator Z-100: A JGOG Study.  Annals of oncology : official journal of the European Society for Medical Oncology / ESMO  :pub ahead of print , 2014.2   DOI:10.1093/annonc/mdu057
2. Shikama Naoto, Sekiguchi Kenji, Nakamura Naoki, Sekine Hiroshi, Nakayama Yuko, Imanaka Kazufumi, Akiba Takeshi, Aoki Masahiko, Hatayama Yoshiomi, Ogo Etsuyo, Kagami Yoshikazu, Kawashima Miho, Karasawa Kumiko:  Preliminary Results from a Multi-center Prospective Study (JROSG 05-5) on Postoperative Radiotherapy for Patients with High-risk Ductal Carcinoma in situ with Involved Margins or Margin Widths 1 mm or less than.  Ame J Breast Cancer Res.  (1) :1-8 , 2014.1
3. Wakatsuki Masaru, Kato Shingo, Ohno Tatsuya, Karasawa Kumiko, Ando Ken, Kiyohara Hiroki, Tsujii Hirohiko, Nakano Takashi, Kamada Tadashi, Shozu Makio:  Dose-escalation study of carbon ion radiotherapy for locally advanced squamous cell carcinoma of the uterine cervix (9902).  Gynecol Oncol.  (132) :87-92 , 2014.1
4. Wakatsuki Masaru, Ohno Tatsuya, Kato Shingo, Ando Ken, Noda Shin-Ei, Kiyohara Hiroki, Shibuya Kei, Karasawa Kumiko, Kamada Tadashi, Nakano Takashi:  Impact of boost irradiation on pelvic lymph node control in patients with cervical cancer.  Journal of radiation research  55 (1) :139-45 , 2014.1   DOI:10.1093/jrr/rrt097
5. Wakatsuki Masaru, Kato Shingo, Karasawa KUmiko, Tsujii Hirohiko, Kamada Tadashi:  A Review of Update Clinical Results of Carbon Ion Radiotherapy for Uterine Cervical Cancer.  iConcept Press  :http://www.iconceptpress.com/books/breast-cervical-and-prostate-cancer/ , 2014.1
全件表示(12件)
総説及び解説
1. 唐澤久美子, 沼尻晴子, 道上宏之:  乳がんの重粒子線治療.  医用原子力だより  (14) :10-14 , 2014.1
2. 土原一哉*, 唐澤久美子, 北村薫, 青木和惠, 湯坐有希, 永井敦, 関戸哲利, 川上祥子:  がんサーバイバーの諸問題(長期) 放射線療法後の諸問題.  癌と化学療法  (41) :27-30 , 2014.1
3. 羽鳥隆, 鈴木修司, 大島奈々, 鈴木隆二, 君島映, 出雲渉, 古川徹, 田原純子, 高山敬子, 清水京子, 白鳥敬子, 三橋紀夫, 山本雅一*:  (特集 膵癌に対する術前治療をめぐって).  胆と膵  35 (1) :43-47 , 2014.1
4. 羽鳥隆, 鈴木修司, 大島奈々, 鈴木隆二, 君島映, 出雲渉, 古川徹, 田原純子, 高山敬子, 清水京子, 白鳥敬子, 三橋紀夫, 山本雅一*:  (特集 膵癌に対する術前治療をめぐって)Borderline resectable膵癌に対する化学放射線療法を用いた治療戦略.  胆と膵  35 (1) :43-47 , 2014.1
5. 三橋紀夫:  【特集 分子標的薬時代の化学放射線療法、新たな潮流】 基礎から知りたい、化学放射線療.  Tips on Oncology  :2-3 , 2013.10
全件表示(10件)
ページの先頭へ
■ 著書
1. 唐澤久美子, 小橋元, 宮嵜治, 盛武敬, 尾松徳彦, 清哲朗, 立崎英夫:    iRefer臨床放射線の最適利用のために第7版  1-218.  インナービジョン,  日本, 2014.3
2. 唐澤久美子:  基本から最新治療まで 乳がん放射線治療.  治療を始める前に読む 乳がんの本  111-119.  イカロス出版,  日本, 2014.2
3. 唐澤久美子:  重粒子線治療とは何ですか?.  乳癌診療 TIPS&TRAPS 42号  4-4.  マッキャンヘルスケアワールドワイドジャパン,  日本, 2014.2
4. 西尾禎治, 遠藤啓吾, 小田敍弘, 笠井俊文, 杜下淳次, 東村享治, 片渕哲朗, 河村正, 中島俊文, 中田学, 西谷源展:    図解診療放射線技術実践ガイド 第3版  1-1104.  文光堂,  日本, 2014.2
5. 唐澤久美子, 小橋元, 宮嵜治, 盛武敬, 尾松徳彦, 清哲朗, 立崎英夫:    臨床放射線の最適利用のために第7版  1-218.  インナービジョン,  日本, 2014.1
全件表示(11件)
ページの先頭へ
■ 学会発表
1. ◎IZUMI Sachiko, AKIMOTO Tetsuo, KONO Sawa, HASHIMOTO Yaichirou, MAEBAYASHI Katsuya, YOSHIHARA Toshio, MITSUHASHI Norio: Outcomes and Failure Patterns of Oropharyngeal Cancer treated with Simultaneous Integrated Boost-Intensity Modulated Radiation Therapy (SIB-IMRT).  The 69th Korean Congress of Radiology(KCR 2013)Annual Meeting,  Korean,  2013/10
2. ◎Karasawa Kumiko: Carbon Ion Radiotherapy for Early Breast Cancer.  29th International Congress of the Medical Women's International Association,  Seoul,South Korea,  2013/07
3. ◎Karasawa Kumiko: Forum for Nuclear Cooperation in Asia Radiation Oncology Project.  29th International Congress of the Medical Women's International Association,  Seoul,South Korea,  2013/07
4. ◎Karasawa Kumiko, Wakatsuki M, Ando K, Kato S, Kiyohara H, Kamada T: Clinical trial of Carbon Ion Radiotherapy for Gynecological Melanoma.  2nd European Society for Radiation Oncology Forum 2013,  Geneva, Switzerland,  2013/04
5. ◎三橋紀夫: 【シンポジウム4 発がんのリスクファクター】 放射線被曝と発がん.  第65回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会,  東京,  2013/11
全件表示(25件)
ページの先頭へ
  :Corresponding Author
 :筆頭者
◎:発表者