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 放射線腫瘍科
概要 当該年度の研究費受入状況 教授・准教授・講師・助手の公的役職
教授・准教授・講師・助手の学会・研究会の役員 学術雑誌 著書
学会発表


教授:
   三橋 紀夫
准教授:
   秋元 哲夫
講師:
   前林 勝也
助教:
   泉 佐知子
   清塚 誠
   中村 香織
   橋本 弥一郎
   村松 博之
   茂木 厚
■ 概要
1.特徴
放射線腫瘍学は外科腫瘍学や内科腫瘍学と同様に、臨床腫瘍学の一分野であることから、ただ単にがんの放射線治療を行う放射線治療医(Radiation Therapist)で満足することなく、がんの予防学、癌の分子生物学、腫瘍病理学、腫瘍画像診断学などを理解した上で、放射線治療を武器として治療にあたる放射線腫瘍医 (Radiation Oncologist)たらんと研鑚を積んでいます。放射線治療は手術、化学療法と並ぶがん治療の三本柱の一つですが、機能温存の面で優れており、放射線治療に対する期待は、年々増加しています。放射線腫瘍学講座はわが国の放射線治療をリードしている講座の一つであり、これまでも指導的役割を果たしてきましたが、放射線腫瘍医の数はまだまだ不足しており放射線腫瘍医の育成にも力を入れています。
2.放射線治療の対象疾患
放射線治療に主体をおいて年間約900人の悪性腫瘍患者の治療を行っています。主な対象疾患は、頭頸部癌、食道癌、乳癌、子宮頸部癌、脳腫瘍、悪性リンパ腫、肺癌、前立腺癌などの悪性腫瘍で、一部の良性疾患(ケロイドなど) に対する放射線治療も行っています。特に神経膠腫や小児脳腫瘍に対する放射線治療の患者数は日本で最多を誇っています。これらの疾患の根治治療に加えて脳転移や骨転移などのがんの症状緩和の治療も行っています。また、前立腺腫瘍センターを設立して、泌尿器科、病理科とともに全例を検討した上で治療方針を決定しています。
3.当科に設置されている放射線治療関連装置
・CTシミュレータ:1台
・X線シミュレータ:1台
・高精度放射線治療用ライナック:3台
(体幹部定位照射(SRS・SRT)や強度変調放射線治療(IMRT)対応:3台.うち1台は画像支援放射線治療(IGRT)にも対応)
・密封小線源治療装置:2台
 (高線量率Ir-192線源用治療装置:1台、密封小線源永久挿入用治療装置:1台)
・治療計画装置:4種類
4.当科で施行している高精度放射線治療
定位放射線治療(肺癌)
強度変調放射線治療(頭頸部癌、前立腺癌)
画像誘導放射線治療(前立腺癌)
放射性ヨウ素永久挿入術( 前立腺癌)
高線量率組織内照射(前立腺癌)
5.放射線腫瘍学に関する研究(大学院)
1.難治性腫瘍に対する集学的治療法の開発
  難治性腫瘍を対象に、正常組織への照射線量を減少させつつ腫瘍組織の線量集中性を高めることや腫瘍の存在部位の判定の精度を上げることで局所制御率を向上させる放射線治療法の確立を目指すとともに、生物学的手法によって分子生物学的薬など最適な薬剤の種類やその併用のタイミングについて研究している。
2.高エネルギーX線を用いた高精度放射線治療法に関する研究
 インバースプランを用いて線量計算を行い、作り上げた放射線治療計画をコンピュータ制御下にマルチリーフコリメーターを駆動させ、正常組織への照射線量を減少させ、腫瘍組織に線量を集中させて局所制御率を向上させる強度変調照射法の確立と発展をめざして、基礎的ならびに臨床的研究を行い、この治療法の対象疾患ならびにその至適な線量分割と治療計画の方法について物理的・生物学的アプローチで研究している。
3.時間軸を考慮した4次元高精度放射線治療法の開発
  強度変調放射線治療や体幹部定位放射線治療などの高精度放射線治療は、治療精度が高いゆえに呼吸性移動や臓器移動の影響を強く受けてしまう。まずは、時間軸を加味した4次元放射線治療計画法による臓器移動を考慮した線量分布作成法を開発し、この治療法の臨床応用に向けて開発研究をしている。
4.放射線感受性の決定に関わる分子標的の探索
  がんの個別化放射線治療に向けて、腫瘍組織ならびに正常組織の放射線感受性を決定している分子を明らかにすべく、分子生物学的手法を用いて基礎研究を行っている。また、放射線による遅発性有害事象発症の一因である血流障害の分子生物学的メカニズムを解明し、有害事象に対する治療法の開発を目指している。
5.遅発性放射線有害事象の発症メカニズムについての基礎的検討と治療法の開発
  放射線治療の局所制御率の向上を図るためには照射線量を増加させることが必要である。しかし、線量を増加すると遅発性放射線有害事象が問題となる。そこで遅発性放射線有害事象の発症メカニズムを基礎的に明らかにし、予防策を開発すべく研究を行っている。
日本医学放射線学会放射線科専門医、放射線治療専門医(日本医学放射線学会・日本放射線腫瘍学会共同認定)、がん治療認定医
東京女子医科大学放射線腫瘍学講座
東京女子医科大学大学院医学研究科放射線腫瘍学分野
のホームページもご覧ください。
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■ 当該年度の研究費受入状況
1.  厚生労働科学研究費補助金 がん臨床研究事業  (研究課題番号:がん臨床-一般-018)
 研究課題:声門がん放射線治療後の急性粘膜炎および音声機能の変化に関与する遺伝子多型の解析研究  (研究分担者:秋元哲夫)
 研究補助金:1,200,000円  (分担)
2.  文部科学省科学研究費補助金  若手研究(B)  (研究課題番号:22791226)
 研究課題:末梢血流動態が正常組織の放射線感受性に与える影響の基礎的・臨床的検討  (研究代表者:泉佐知子)
 研究補助金:3,120,000円  (代表)
3.  文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(C)  (研究課題番号:20591505)
 研究課題:膠芽腫の治療成績向上を目指した、放射線と分子標的薬の最適な併用法を探る基礎的検討  (研究代表者:前林勝也)
 研究補助金:910,000円  (代表)
4.  文部科学省科学研究費補助金 基盤研究(C)  (研究課題番号:21591620)
 研究課題:癌細胞の細胞接着機構に起因する放射線抵抗性因子を標的にした放射線感受性増感の研究  (研究代表者:秋元哲夫)
 研究補助金:780,000円  (代表)
5.  文部科学省科学研究費補助金 若手研究(B)  (研究課題番号:22791224)
 研究課題:発がん過程に着目したGBMの治療感受性に関する分子生物学的検討  (研究代表者:橋本弥一郎)
 研究補助金:1,950,000円  (代表)
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■ 教授・准教授・講師・助教の公的役職
1.  三橋紀夫 :日本学術振興会科学研究費委員会専門委員、厚生労働省診療放射線技師試験委員, 出題基準改定委員
2.  秋元哲夫 :放射線医学総合研究所重粒子線がん治療装置等共同利用運営委員会委員, 課題採択・評価部会委員
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■ 教授・准教授・講師・助教の学会・研究会の役員
1.  三橋紀夫 :日本放射線腫瘍学会理事・代議員, 日本医学放射線学会代議員, 日本小児がん学会評議員, 日本癌治療学会理事・代議員, 日本ハイパーサーミア学会評議員・監査, 日本頭頸部癌学会理事・評議員, 日本医学放射線学会生物部会会長, 国際癌治療増感研究会常任理事, 特定非営利活動法人日本放射線腫瘍学研究グループ理事長
2.  秋元 哲夫 :日本放射線腫瘍学会代議員, 日本ハイパーサーミア学会評議員
3.  前林 勝也 :日本放射線腫瘍学会代議員
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■ 当該年度研究業績数一覧表
学術雑誌 著書 学会発表 その他
発表
和文英文 和文英文 国内国際
筆 頭Corresponding
Author
共 著筆 頭Corresponding
Author
共 著 筆 頭共 著筆 頭共 著 演 者共 演演 者共 演 演 者共 演
 6 0 5 1 0 3  0 6 0 0  11 10  2 2  0 0
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■ 学術雑誌
原著
1. Vasanthapriya Subramaniyam, Kuwatsuru Ryohei, Kohno Mari, Mitsuhashi Norio, Tanabe Kazunari:  Pheochromocytoma: Analysis, categorization and scoring based on dynamic CT features.  東京女子医科大学雑誌  81 (4) :244-252 , 2011.2
2. ISOMURA Minoru ,OYA Natsuo ,TACHIIRI Seiji ,KANEYASU Yuko ,NISHIMURA Yasumasa ,AKIMOTO Tetsuo ,HAREYAMA Masato ,SUGITA Tadasi ,MITSUHASHI Norio ,YAMASHITA Takashi ,AOKI Masahiko ,SAI Heitetsu ,HIROKAWA Yutaka ,SAKATA Koh-ichi ,KARASAWA Kumiko ,TOMIDA Akihiro ,TSURUO Takashi ,MIKI Yoshio ,NODA Tetsuo ,HIRAOKA Masahiro:  Correction: IL12RB2 and ABCA1 genes are associated with susceptibility to radiation dermatitis (Clinical Cancer Research (2008) 14, (6683-6689)).  Clinical cancer research : an official journal of the American Association for Cancer Research  16 (16) :4301 , 2010.8   DOI:DOI: 10.1158/1078-0432.CCR-10-0850
3. 田邉一成, 三橋紀夫:  泌尿器科と放射線腫瘍科の連携が現実化 前立腺腫瘍センター編.  KONICA MINOLTA MEDICAL NETWORK  276 (61) :44-47 , 2010
4. 唐澤久美子, 和田真一, 水野秀之, 松本政雄, 荒木不次男, 伊藤彬, 小森雅孝, 豊福不可依, 山本徹, 小澤修一, 加藤博和, 榮武二, 西尾禎治:  大学院医学物理コースに関するアンケート.  医学物理  30 (1) :10-16 , 2010
5. AIHARA Yasuo, TSURUTA Toshihisa, KAWAMATA Takakazu, KANNO Haruo, MAEBAYASHI Katsuya, SAKAUCHI Masako, WADA Emiko, Makiko MakikoMakiko, FUJII Hisaichi, KUBO Osami, HORI Tomokatsu:  Double high-dose chemotherapy followed by autologous peripheral blood stem cell transplantation for primary disseminated medulloblastoma: A report of 3 cases.  Journal of pediatric hematology/oncology : official journal of the American Society of Pediatric Hematology/Oncology  32 (2) :e70-e74 , 2010   DOI:DOI: 10.1097/MPH.0b013e3181c46b92
総説及び解説
1. 前林 勝也:  これだけは知っておきたい! 放射線治療Q&A 基本知識と最前線 臓器別の放射線治療 骨髄腫・白血病.  がん治療レクチャー  2 (1) :188-191 , 2011.2
2. 秋元 哲夫:  これだけは知っておきたい! 放射線治療Q&A 基本知識と最前線 最新の放射線治療 放射線治療と分子標的治療の併用.  がん治療レクチャー  2 (1) :7-13 , 2011.2
3. 秋元 哲夫:  Stage C 前立腺がんの治療戦略 外照射併用高線量率組織内照射の優位性.  泌尿器外科  23 (8) :1053-1056 , 2010.8
4. 三橋 紀夫:  進歩を遂げる放射線治療.  頭頸部外科  20 (1) :47-55 , 2010.6
5. 秋元 哲夫:  【固形癌の最新治療 癌治療への新たな取り組み】治療の新たな取り組み 放射線療法 放射線療法と分子的治療の併用.  日本臨床(0047-1852)  68 (6) :1025-1034 , 2010.6
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その他
1. 西尾禎治:  原子核破砕反応を利用した照射領域可視化による高精度陽子線治療.  RIST NEWS  50 :24-35 , 2011.1
2. 西尾禎治:  高精度放射線治療の実践には医学物理士の存在が不可欠.  Medical Tribune  43 (22) :29 , 2010.6
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■ 著書
1. 栗林茂彦:  67章. 線量.  救急・当直に役立つ画像診断マニュアル  1.  メディカル・サイエンス・インターナショナル,  東京、日本, 2011.1
2. 西尾禎治(大西洋、唐澤久美子、唐澤克之編著):    がん・放射線治療法2010  1.  篠原出版新社,  日本, 2010.11
3. 大西 洋
唐澤 久美子
唐澤 克之:    がん・放射線療法2010  118, 123-125, 733-737, 837-839.  篠原出版新社,  東京, 2010.11
4. 栗林茂彦:  ケロイド.  代表的照射野とCT上のターゲット  1.  篠原出版新社,  東京、日本, 2010.10
5. 栗林茂彦:  各領域の治療 ケロイド.  がん・放射線療法 2010  1.  篠原出版新社,  東京、日本, 2010
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■ 学会発表
1. NISHIMURA Yasumasa ,MITSUMORI Mitsuhide ,HIRAOKA Masahiro ,KOIKE Riyuuta Riyuuta ,NAKAMATSU Kiyoshi ,KAWAMURA Masashi ,ARAKI Norio ,FUJII Takashi ,TAKAHASHI Takeo ,MITSUHASHI Norio: Final analysis on long-term survival and late toxicities for a randomized phase II study of Cisplatin/5-FU concurrent chemoradiotherapy for esophageal cancer (KROSG-0101, JROSG-021) [Poster Presentations].  The 52nd Annual Meeting of the American Society for Radiology and Oncology (ASTRO),  San Dirgo, USA,  2010/11
2. ◎AKIMOTO Tetsuo ,KIYOZUKA Makoto ,IZUMI Sachiko ,MOTEGI Atsushi ,NAKAMURA Kaori ,HASHIMOTO Yaichirou ,MAEBAYASHI Katsuya ,HANYU Yuji ,TANABE Kazunari ,MITSUHASHI Norio: Acute and late toxicity after hypofractionated intensity-modulated radiotherapy for localized prostate cancer [Poster Presentations].  The 52nd Annual Meeting of the American Society for Radiology and Oncology (ASTRO),  San Diego, USA,  2010/11
3. ◎MOTEGI Atsushi ,AKIMOTO Tetsuo ,KIYOZUKA Makoto ,SACHIKO Izumi ,HASHIMOTO Yaichirou ,NAKAMURA Kaori ,MAEBAYASHI Katsuya ,IIZUKA Jumpei ,Tanabe Kazunari ,MITSUHASHI Norio: Correlation between the changes in the Epic QOL score and the severity of acute genitourinary toxicity after permanent brachytherapy with I-125 alone for prostate cancer [Poster Presentations].  The 52nd Annual Meeting of the American Society for Radiology and Oncology (ASTRO),  San Diego, USA,  2010/11
4. ◎Karasawa Kumiko, Hirowatari H, Izawa H, Sasai K, Furuya T, Kawashima M, Sugimoto S, Kurokawa C, Ozawa S: Comparison between Short-term Results of Hypofractionated and Conventionally Fractionated Whole-breast Irradiation after Breast Conserving Surgery.  American Society for Radiation Oncology 52nd Annual Meeting,  San Diego Convention Center,  2010/10
5. ◎山田卓司, 太田正穂, 佐藤拓也, 樋口亮太, 成宮孝祐, 大森鉄平, 米澤麻利亜, 秋元哲夫, 三橋紀夫, 山本雅一, 白鳥敬子: 頭頚部癌化学放射線療法における予防的PEGの功罪.  第26回日本静脈経腸栄養学会,  名古屋,  2011/02
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  :Corresponding Author
 :筆頭者
◎:発表者