ハギワラ ノブヒサ   Nobuhisa Hagiwara
  萩原 誠久
   所属   その他 その他
   職種   非常勤嘱託
言語種別 日本語
発表タイトル レパーサペンにて胃腸障害を認めたが,オートミニドーザーに変更後,経過良好であったハイリスク家族性高コレステロール血症の例
会議名 第67回日本心臓病学会学術集会
主催者 日本心臓病学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎関口治樹, 野村秀仁, 今村泰崇, 佐藤加代子, 萩原誠久
発表年月日 2019/09/13
開催地
(都市, 国名)
名古屋市
概要 *一般演題(ポスター):ケースから学ぶ 17
症例報告 その他

背景:家族性高コレステロール血症 (FH) は常染色体優性遺伝の遺伝形式を示し,最も頻度の高い遺伝疾患の一つであり,若年で冠動脈疾患となりうる非常に心血管病変のリスクの高い疾患である.そのため,血清 low density lipoprotein choresterol(LDLC) の目標は,より厳格に管理することが推奨されている.一方で,FH 患者はスタチンを含む十分な脂質降下薬を用いても,この管理目標を達成ずる事がしばしば難しく,このような場合にはヒト抗 PCSK9 モノクローナル抗体製剤の使用が認められている.今回我々は,ハイリスクの FH 症例に対して,レパーサを使用するも胃腸障害を認め,これを中止し,オートミニドーザーに変更したところ,副作用無く良好な臨床経過をたどった例を経験したので,これを報告する.

症例:55 歳男性であり,早発性冠動脈疾患の家族歴および最大LDL-C 値より臨床的 FH と診断した.アトルバスタチン 40mg,エゼチミブ 10mg の内服下でも LDL-C 142mg/dl であり,レパーサ 140mg/2W を導入した.その後に LDL-C 72mg/dl と降下を認めるも,下痢,悪心等の消化器症状が出現し,レパーサを休止とした.その後 LDL-C 107mg/dl と上昇したため,再度レパーサを再開するも同様の消化器症状を認め,レパーサを自己中断された.これに対して,レパーサオートミニドーザ 420mg/dlを開始すると,特に副作用の出現はなく,LDL-C 63mg/dl と LDL-C 目標を達成する事ができた.その後は経過良好であり,頸動脈プラークの消退,Endo-PAT での内皮機能の改善,PWVの改善を認めている.

考察:レパーサは 1ml(140mg/ml) は約 15 秒で注入するのに対し,オートミニドーザーは 3.5ml (120mg/ml) を約 9 分で注入することや,投与間隔 (1 回/2 週間,1 回/4 週間) の違いが副作用の発現に関与しているのかもしれない.オートミニドーザーは,レパーサーペンでの消化器症状以外の副作用に関しても軽減することができる可能性がある.