ヌノダ シンイチ   SHINICHI NUNODA
  布田 伸一
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル 長期補助期間に至った植込型補助人工心臓患者のマネージメント
会議名 第49回日本心臓血管外科学会学術総会
主催者 日本心臓血管外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎市原有起, 西中知博, 飯塚慶, 久米悠太, 駒ヶ嶺正英, 阿瀬孝治, 日野阿斗務, 澤真太郎, 齋藤聡, 布田伸一, 新浪博
発表年月日 2019/02/13
開催地
(都市, 国名)
岡山県岡山市
概要 *一般24 心不全
重症心不全に対する植込み型補助人工心臓(VAD)は、同患者群の生命予後を大幅に改善させ治療戦略の重要な選択肢となった。本邦においても恒久的使用、すなわちDestination Therapy(DT)の導入が検討されているが、様々な課題が未だ解決されていないのが現状である。今回我々は、心臓移植への橋渡し治療として用いられた植込み型VAD患者において、実質DT使用と見なされ得る長期管理に至った症例の評価を行い、DT治療の妥当性について考察した。 2011年3月から現在までに当院で施行した植込み型VAD患者48例のうち、補助期間が3年を超過した22例を対象とした。全例左室補助のみでの使用で、デバイスの内訳はEVAHEART 19例、HeartMateII 3例であった。患者背景としては男性が20例(91%)、平均年齢は36.4歳(19-56歳)、原疾患はDCM18例、DHCM1例、ICM1例、筋ジストロフィーに伴う心筋疾患1例、先天性心疾患1例であった。2018年6月末時点で、9例(41%)が心臓移植に到達(平均補助期間1267±181日)、1例が離脱、移植後を含め5例が死亡、10例が待機中であった。全症例の平均補助期間は1334±247日、最長は1992日で約5年半を経過していた。 補助期間中、1人の患者における平均再入院回数は5.4±2.7回(0-9回)で総入院日数は428±445日(18-1723日)、総補助期間に対する再入院日数の割合は約25%であった。1例は植込み後一度も退院することなく4年以上が経過したが、その後VADの離脱に成功し転院となった。22例全体の延べ再入院回数は118回であったが、主たる理由としてはドライブライン(DL)感染症が48回(41%)と最多であり、次いで機器アラーム関連18回(15%)、てんかん発作を含む脳神経学的異常15回(13%)、下血を含む消化器症状11回(9%)、心不全8回(7%)、不整脈5回(4%)の順で多かった。 DL感染症は再入院理由の40%を占め、今後DT導入後の長期管理下においても最も注視すべき合併症である。脳血管障害に対しては急性期治療の重要性はもとより、再発やその後の症候性てんかんに対する薬物療法の徹底が再入院の回避に繋がる可能性が示唆された。また、頻回の感染症や消化管出血に伴う頻回輸血が原因と考えられる抗体産生を認めるケースもあった。これらの合併症に対する予防的介入の徹底が今後のDT導入において不可欠と思われる。