ヌノダ シンイチ   SHINICHI NUNODA
  布田 伸一
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル ファブリー病の臨床的アプローチ
会議名 第81回日本循環器学会学術集会
主催者 日本循環器学会/大日本住友製薬株式会社
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
発表者・共同発表者◎布田伸一
発表年月日 2017/03/18
開催地
(都市, 国名)
金沢市
学会抄録 第81回日本循環器学会学術集会 プログラム集 301
概要 *Luncheon Seminar 30
心筋症における遺伝子異常からファブリー病の臨床的アプローチ
 ファブリー病(Fabry disease)は、今から120年前の1898年にドイツの皮膚科医であるファブリーと英国の皮膚科医アンターソンによって初めて報告されたライソゾーム病であり、α‒ガラクトシダーゼ(α‒Gal)欠損によりグロボトリアオシルセラミド(GL3)(別名セラミドトリヘキソシド、CTH)の糖脂質が、血管内皮細胞、心筋細胞、神経節細胞をはじめとするさまざまな細胞に蓄積することにより、心臓や腎臓を中心とする各臓器に関連するさまざまな臨床症状を呈する疾患である。
 α‒ガラクトシダーゼ遺伝子はX染色体に存在するため、本症はX連鎖性劣性の遺伝形式で遺伝する。しかしながら、男性に比べて軽症ではあるが、女性にも症状が出現するため、最近では劣性という言葉は不適切という意見もあり、男性患者の古典型と遅発型(心型と腎型)、そしてヘテロ接合体(女性患者)と臨床的に病型分類される。
 Fabry病の症状で、発熱や運動で増強する手足の疼痛、発汗異常、等は小児・思春期の早期から認められるが、患者自身から訴えられることは多くなく、心臓、腎臓、脳血管の障害で成人期以降に受診し診断確定される場合が多い。
 以前は、診断確定しても対症療法しかなかったが、21世紀に入り酵素補充療法(ERT)が確立し治療可能な疾患となった。しかし、このERTの効果については、特に心、腎において早期治療開始により臓器障害の進行がより抑えられることが明らかになってきており、Fabry病の早期診断が求められる。
 心臓においては、左室肥大を呈する疾患、とくに肥大型心筋症と診断された症例にFabry病が隠れていることがあり、頻度として3%はあると思われる。診断アプローチとしては、Fabry病を疑った場合、α‒Galの活性低下をもって診断され、補助診断として遺伝子検査が行われるが、女性患者ではα‒GAL酵素活性の測定だけではFabry病と確定できず、臨床所見、心筋生検、そして遺伝子解析、等を要する場合もある。
 本講演では、日常の診療で見逃しているかもしれないFabry病の臨床的アプローチについて述べる。