トミマツ ヒロフミ   TOMIMATSU HIROFUMI
  富松 宏文
   所属   その他 その他
   職種   非常勤嘱託
言語種別 日本語
発表タイトル ファロー四徴症
会議名 日本超音波医学会第92回学術集会
主催者 日本超音波医学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
発表者・共同発表者◎富松宏文
発表年月日 2019/05/26
開催地
(都市, 国名)
東京都港区
概要 *シンポジウム 循環器10
先天性心疾患(成人含む)の診療における超音波検査の役割

ファロー四徴症(TF)は先天性心疾患の約4-5%を占め,チアノーゼ性心疾患のなかでは最も多いものである.その自然歴は不良であり,無治療で20歳まで生存できることは少なかった.しかし,外科手術の進歩に伴い本症の多くが手術可能となり,生命予後も劇的に改善して来ていて,成人期を迎えたTF術後患者は急速に増加してきている.一方長期生存が可能になってきたことにより,これまであまり重要視されてこなかった種々の問題が遠隔期に出現し,それが原因となり重症心不全をきたすことや突然死につながることが判明してきつつある.2017年に改定された日本循環器学会の「成人先天性心疾患診療ガイドライン」では1. 肺動脈弁閉鎖不全 2. 肺動脈弁閉鎖不全や三尖弁閉鎖不全による右室拡大と機能不全 3. 遺残右室流出路狭窄 4. 肺動脈狭窄(分岐部狭窄および末梢肺動脈低形成) 5. 不整脈  1)持続型単形性心室頻拍, 2)房室ブロック,心房粗動・細動 6. 突然死 7. 遺残短絡;VSDやASD,卵円孔開存(チアノーゼ,血栓塞 栓) 8. 進行性の大動脈弁閉鎖不全 が術後の問題点として挙げられている.この中で,5,6以外の病態の把握に心エコーが果たす役割は大きいものがある.しかし,術後遠隔期の成人では音響窓が不良であることが多く,通常の経胸壁心エコー(TTE)だけでは十分な情報が得られないこともしばしば経験される.したがって,TF術後遠隔期のTTE検査を行う場合にはTTRですべてを把握するのではなく,TTEで何がわかって,何がわからないのかを明確に判断しながら検査を進め,必要に応じて他のモダリティーを積極的に併用する姿勢が重要である.
TF術後における上記の問題点の中の多くは外科的介入やカテーテル治療が可能であるが,反面再手術に伴うリスク,再々手術の可能性,再手術後の感染性心内膜炎罹患の可能性の増加など,負の要因も多々あり至適再手術適応やその時期については議論の余地がある.
本セッションではTF術後遠隔期の問題点に焦点を当て,心エコー検査で評価すべき点について述べたい.