キタガワ カズオ   KITAGAWA KAZUO
  北川 一夫
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
言語種別 日本語
発表タイトル 神経線維腫1型の若年女性に発症した前脈絡叢動脈領域の脳梗塞の1例
会議名 第40回日本脳卒中学会総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎眞壽田充代, 堤由紀子, 北川一夫
発表年月日 2015/03/26
開催地
(都市, 国名)
広島
概要 [諸言] 神経線維腫1型は、皮膚及び神経に生じる多発性の神経線維腫、色素斑(café su lait斑)を主徴とし、多彩な症状を呈する常染色体優性の単一遺伝子疾患である。血管障害の報告はあるが、脳血管系に関する報告は少ない。前脈絡叢動脈領域の脳梗塞を発症した若年女性例を経験したので報告する。
[症例] 症例は21歳女性。生下時より色素斑や線維腫を認め、父も同様の皮膚症状を呈していた。軽度の発達障害あり、中学より特別学級。左片麻痺で発症し、約20分で一度症状改善したものの、1時間後に再度左片麻痺が出現し、救急要請。胸部・背部を中心に色素斑と神経線維腫あり。左上下肢の片麻痺(MMT2)と左半身の感覚障害を認めた。頭部MRI上視床外側に急性期脳梗塞あり、MRAでは明らかな狭窄や閉塞、動脈瘤やもやもや血管などはみられなかった。アルガトロバンとエダラボンによる点滴加療を行い、麻痺は完全に消失した。血液検査(凝血学的含む)、ホルタ―心電図、心エコー、頸動脈エコー、経頭蓋ドップラー、3D-CTAでは、塞栓源や動脈硬化性変化は指摘できなかった。第9病日アスピリン開始下で約10分の左片麻痺が出現したため、シロスタゾールを追加とし、第15病日自宅退院となった。
[結論] 本症例は、神経線維腫1型の症例に多いもやもや血管、血管異常(狭窄や閉塞、動脈瘤)は指摘できなかったが、前脈絡叢動脈領域の脳梗塞とTIA発作を繰り返したことより、同動脈起始部の血管異常が疑われた。神経線維腫1型の脳血管障害の報告は少なく、貴重な症例と考えられた。