ナガシマ ヨウジ   Nagashima, Yoji
  長嶋 洋治
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル 新しい腎癌の組織分類 ―鑑別のポイント―
会議名 第70回日本病理学会近畿支部学術集会
学会区分 全国規模の学会
招聘 招聘
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
発表者・共同発表者長嶋洋治
発表年月日 2015/09/26
開催地
(都市, 国名)
関西医科大学 枚方学舎
概要 2013年の国際泌尿器病理学会(ISUP)のコンセンサスミーティングの結果をもとに、腎細胞癌(RCC)分類に新しい組織型が導入されようとしている。本講演では新組織型のうち主なものを、既存のものとの関連、鑑別をふまえて紹介する。

MiTF/TFE転座型RCC 2004年WHO分類に新たに加えられたXp11.2/TFE3転座型RCCとともに、6p21/TFEB転座型RCCが導入、併せてMiTF/TFE転座型RCCとされる予定である。前者は高度異型性を示す淡明細胞が乳頭状、巣状構築をとる。微細石灰化も特徴である。後者は大型腫瘍細胞が微小嚢胞を形成、その中に細胞外基質様物質を囲む小型腫瘍細胞が集簇する。いずれも小児、若年者の腎上皮性腫瘍の中で占める割合は高いが、症例実数は成人の方が多いことを銘記すべきである。
透析関連RCC 長期血液透析患者には後天性嚢胞腎、終末期腎を背景に腎細胞癌が好発する。その組織型には通常見られるものの他に特殊な形態を示すものがある。今回の改定では後天性嚢胞腎随伴RCCと淡明細胞乳頭型RCCが加えられる予定である。前者は篩状構築を示す、高度異型性腫瘍細胞からなる。細胞質は好酸性である。腫瘍内シュウ酸結晶の沈着も特徴である。形態学的、免疫組織化学的に乳頭状RCCとの類似性が指摘されている。後者では低異型度の淡明細胞が、低乳頭状、嚢胞状構築をとる。核は細胞底部から離れて存在し、横一列に並び、“ピアノの鍵盤”のように見える。免疫組織化学的にはCK7, AMACR陽性、CD10陰性である。CA9はbasolateral 膜に陽性でcup-shaped像を示す。後者は非透析例でも報告が増加している。
嚢胞管状癌 肉眼的にはwrapped babble状を示し、多数の嚢胞からなる。嚢胞は高異型度腫瘍細胞に裏装される。乳頭状RCCと類似性があり、合併例も報告されている。
Birt-Hogg-Dubé (BHD)関連腎腫瘍(特にhybrid oncocytic/ chromophobe tumor, HOCT)BHD症候群は顔面、頭頸部のfibrofolliculoma, 肺嚢胞破裂による反復性気胸、多発性腎腫瘍を3主張とする遺伝性腫瘍症候群である。腎腫瘍は嫌色素性RCC、オンコサイトーマの頻度が有意に高く、さらに両者の形態学的性格を有するHOCTも見られる。形態としては、1)嫌色素性RCC成分とオンコサイトーマ成分により混成されるもの、2)オンコサイトーマの中に嫌色素性細胞が散在するもの、3)円形核、核周囲明庭、好酸性細胞質を有する腫瘍細胞が管状構造を形成するものがある。indolentな腫瘍とされている。散発例やオンコサイトーシス合併症例もある。
この他、存在が認識されている組織型としてsuccinate dehydrogenase B(SDHB)欠損RCC、乳頭状RCC (oncocytic type)などが挙げられている。

RCC以外の腎腫瘍では、血管筋脂肪腫の特殊型として類上皮性血管筋脂肪腫、上皮性嚢胞を伴う血管筋脂肪腫(angiomyolipoma with epithelial cyst, AMLEC)が加えられている。