シガ ツヨシ   Tsuyoshi Shiga
  志賀 剛
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   客員教授
言語種別 日本語
発表タイトル 循環器疾患とうつ
会議名 第81回日本循環器学会学術集会
主催者 日本循環器学会/エーザイ株式会社
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
発表者・共同発表者◎志賀剛
発表年月日 2017/03/17
開催地
(都市, 国名)
金沢市
学会抄録 第81回日本循環器学会学術集会 プログラム集 248
概要 *Fireside Seminar 12(循環器疾患と睡眠障害、うつ)
ストレスや感情状態の変化が自律神経系、神経内分泌経路を通じて心臓に影響を及ぼすことはよく知られており、その作用は双方向性である。冠動脈疾患とうつ病の関連は1990年代から多くの報告があり、うつは冠動脈疾患の独立した予後悪化因子であることが示されている。近年、冠動脈疾患のみならず、不整脈や心不全においても、うつが予後悪化因子になることが示されている。505名の循環器疾患入院患者(年齢61±14歳、女性28%)を対象に検討したところ、109名(22%)にうつ(Zung Self‒Rating Depression Scale index score ≥60)を認めた。New York Heart Association(NYHA)心機能分類Ⅲ/Ⅳ度、植込み型除細動器治療、配偶者なしがうつの独立した因子であった。平均観察期間38±15月において死亡および心血管イベントの複合評価項目は、うつを有する例が有さない例に比し、有意に頻度が高かった(p<0.01)。総死亡においても同様であった(p<0.01)。多変量解析からうつは死亡および心血管イベントの独立した因子であった(HR 2.25, 95%CI 1.30‒3.92, <0.001)。一方、1453名の循環器疾患外来患者(年齢67±13歳、女性32%)を対象に検討したところ、81名(5.6%)にうつ(Patient Health Questionnaires‒9 ≥10)を認めた。NYHA心機能分類Ⅲ度、独居、無職がうつの独立した因子であった。平均観察期間584±80日において死亡および心血管イベントの複合評価項目は、うつを有する例が有さない例に比し、有意に頻度が高かった(p<0.001)。総死亡においても同様であった(p=0.04)。多変量解析からうつは死亡および心血管イベントの独立した因子であった(HR 4.64, 95%CI 2.24‒9.09, <0.001)。うつは循環器疾患患者の予後および心血管イベントの予後に係わる重要なマーカーとなる。しかし、抗うつ薬による介入では循環器疾患の予後を改善しないといわれる。そこには基礎心疾患の治療とともに心臓リハビリテーション、運動、認知行動療法、生活や社会サポート等の取り組みが必要である。