ニイナミ ヒロシ   NIINAMI Hiroshi
  新浪 博
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
言語種別 日本語
発表タイトル Side-to-side anastomosisによるITA-LAD吻合法
会議名 第24回日本冠動脈外科学会学術大会
主催者 日本冠動脈外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎NIINAMIHiroshi
発表年月日 2019/07/11
開催地
(都市, 国名)
石川県金沢市
概要 *Video Symposium 1-1
「私の ITA-LAD 吻合のこだわり」

LITA-LAD の長期開存性は術後 10 年を経過しても 90% 以上で、さらに LITA を移植された冠動脈の 10 年後の動脈硬化発症率も10% 以下と報告されている。そこで我々外科医はこの ITA-LAD を開存率 100% とする努力をする必要がある。ITA グラフトは他のグラフトに比較すると小口径であるため通常の end-to-side (ES) anastomosis では吻合口が十分な大きさにならないため、cut-back する必要がある。この cut-back した ITA の吻合部の流入を効率良くするためにはいわゆる「コブラヘッド」状にすることが理想的であるが、技術的難易度は高い。この技術的な問題を解決し、外科医の力量にあまり依らずに reproducible な吻合部を作ることのできる吻合法として side-to-side (SS) anastomosis が挙げられる。この方法の最大の利点は ES 吻合と比較するとグラフト面と冠動脈面が一致するため toe の近くで dog-ear を作らず出血が少なく、追加針を必要とすることが稀であることである。私はこの SS 吻合を 8-0 Prolene BV130-5 (6.5 mm) 60 cm を使用した 1 針の連続縫合で行っている。冠動脈の inside → outsideで 1 時から反時計回りに 10 時まで 4 点刺入しパラシュートでグラフトを冠動脈に近づけ、反時計回りに toe までは順手で行い、toe を回ってから逆手で far side を縫い進み結紮する。吻合終了後に吻合部の屋根の部位の結合織を micro scissors でトリミングする。これは超音波メスで ITA を剥離するとグラフト表面に蛋白凝固が生じており吻合部の膨らみを抑えてしまうので重要なmaneuver と考える。その後 medium clip で吻合部の toe より 5mm 程度離れた部位を閉鎖し、残りを切離する。若手に指導する際には視野の点から ITA-LAD を first step としている施設も多いと考えられるが、その一方で最も重要な吻合であることより、外科医の力量に依りにくい SS 吻合は是非お勧め
の方法である。