イクタ ソウコ   IKUTA Soko
  生田 聡子
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 11C メチオニン PET は神経膠腫 GII/III を疑うべき非造影病変の治療意思決定に有用である
会議名 日本脳神経外科学会第77回学術総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎村垣善浩, 渡辺淳志, 丸山隆志, 篠田淳, 生田聡子, チエルノフミハイル, 岡田芳和, 川俣貴一
発表年月日 2018/10/11
開催地
(都市, 国名)
仙台市
学会抄録 日本脳神経外科学会第77回学術総会 プログラム・抄録集 14
概要 シンポジウム 22
Lower grade glioma:分子から治療まで
【目的】神経膠腫 GII/III を疑うべき非造影病変は、偽腫瘍病変との鑑別診断と成長速度の予測が困難なため、治療意思決定は容易ではない。我々は、2004 年より C11 メチオニン PET(mPET)を神経膠腫の診断に用いてきたが、今回非造影病変の手術意思決定に関して mPET の有用性を後方視的に検討し報告する(J Neurooncol)。【方法】 mPET を施行した連続 297 例の内、FLIAR 高信号で非造影病変を有する成人、初発、KPS80 以上の 163 例を対象。7.0MBq/kg の C11MET を投与し、腫瘍内と正常側脳の集積比を計測(T/N 比)。98 例(60%)が 3 か月以内の予定手術を計画(早期手術群)、65 例(40%)が偽腫瘍病変あるいは手術不同意で MRI フォロー(初期観察群)。T/N 比を中心に臨床経過を解析した。【結果】全 163 例の T/N 比は平均 2.21(中央値 1.81)で早期手術群が初期観察群と比較し有意に高値であった(P<0.01)。 早期手術群は平均 1.4 カ月で手術、待機中の急激な悪化 0 例。初期観察群の 34 例(/65 例;52%)は手術を後に施行(平均 13 カ月)、内 5 例(/34 例;15%)は急激悪化(悪性転化 3 例、腫瘍内出血 2 例)が原因であった。残り 31 例(/65 例;48%)は観察継続(平均 45 カ月)し、内 7 例(/31 例;11%)は病変が縮小した。非手術群(32 例)、低悪性腫瘍群(90 例)、悪性腫瘍群(41 例)の平均 T/N 比は 1.60,2.27, 2.54 と有意差を認め(P<0.01)、急激悪化群の平均 T/N 比は 2.23 であった。T/N 比 1.9 以上群(80 例)が未満群(83 例)と比べ、急激悪化に関する無増悪期間が有意に短かかった(P<0.0001)。【結論】 mPET は、偽腫瘍病変の鑑別含め、非造影病変の治療意思決定に有用である。T/N 比が 1.9 以上の症例は急激悪化のリスクが高く早期摘出手術を検討すべきで、1.9 未満の症例は経過観察がオプションとなりうる。この決定木は不必要な生検を回避できると考える。