イクタ ソウコ   IKUTA Soko
  生田 聡子
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 初発膠芽腫の治療法別臨床成績-単施設237例の後方視研究-
会議名 日本脳神経外科学会第73回学術総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎生田聡子, 村垣善浩, 丸山隆志, 新田雅之, 齋藤太一, 田中雅彦, 前林勝也, 小森隆司, 久保長生, 堀智勝 , 伊関洋, 岡田芳和
発表年月日 2014/10/10
開催地
(都市, 国名)
東京都
学会抄録 日本脳神経外科学会第73回学術総会  
概要 【緒言】膠芽腫には予後不良で効果的な治療薬が少ないため多くの臨床試験が施行されている。近年新規治療法が3件承認され、治療選択肢の広がりが生存期間の改善をもたらしているが、臨床試験は選択基準に合致した患者群の結果であり、それに該当しない患者への効果については定かではない。そこで当院12年間の初発膠芽腫治療成績とともに、様々な術後療法に関する臨床研究結果について後方視的に解析する。【方法】2000~2013年に摘出・生検によりgradeIV神経膠腫と診断された237例。術後放射線照射併用療法剤毎と、試験不参加群の治療成績をKaplan-Meier法により解析。【結果】年齢中央値59歳(≧70歳14.8%)、男女比6:4、膠芽腫97.5%、全体生存期間中央値(OS)18.2ヶ月(3年生存割合27.1%)、60歳未満ではOSが有意に延長した(22.6ヶ月, p=0.0012)。放射線療法90.7%、化学療法82.7% (ACNU18.6%, TMZ64.1%)に施行され、2006年以前のACNU中心時代と現在標準治療のTMZ時代ではOS12.9ヶ月から22.1ヶ月と延長しているが(p=0.0062)、多変量解析では年齢・摘出率のみに有意差を認め、この標準治療の変化には認められなかった。32例(13.5%)が新規治臨床研究・治験に参加しており、これらは背景を調整した不参加群(147例)に比較して生存期間が有意に延長した(OS19.3対27.4ヶ月、p=0.0254)。この期間行われた臨床研究・試験で光線力学的療法が最も生存期間が長く(OS31.5ヶ月)、自家腫瘍ワクチン単独群OS22.0ヶ月、TMZ併用ワクチン群は3年生存割合55%(OS未達)と良好であり、いずれの試験も副作用は軽微であった。【結論】当院12年間の膠芽腫の成績はOS18.2ヶ月、TMZ以降は22.1ヶ月と改善を認めたが、TMZと手術との相加作用が示唆された。光線力学的療法、ワクチン療法は試験基準に合致しない患者の予後改善のため期待できる治療選択と考える。