マルヤマ タカシ   MARUYAMA Takashi
  丸山 隆志
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 標準的治療を受けた膠芽腫症例において術中の広い脳室開放が生存予後に与える影響についての検討
会議名 日本脳神経外科学会第78回学術総会
学会区分 国際学会及び海外の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎齋藤太一, 村垣善浩, 丸山隆志, 新田雅之, 都築俊介, 福井敦, 川俣貴一
発表年月日 2019/10/09
開催地
(都市, 国名)
大阪
学会抄録 日本脳神経外科学会第78回学術総会 13 2019
概要 一般口演 12
グリオーマの集学的治療
2019 年10 月9 日(水) 17:30-18:30  
O-1 会場½ 大阪国際会議場10F 会議室1004-1005
座長:成田善孝(国立がん研究センター中央病院脳脊髄腫瘍科)【目的】膠芽腫の生存予後は未だ不良であり、症例間でも差が認められる。近年手術中の脳室開放が膠芽腫の予後因子の一つとして報告されているが脳室の開放自体の生存予後に対する影響については未だ意見が分かれている。我々は脳室の開放自体ではなく脳室開放の程度が脳室下帯に存在する幹細胞の摘出の程度に相関し、膠芽腫の生存予後にも影響するという仮説をたてた。そこで我々は標準的な放射線療法/テモゾロミド(TMZ)化学療法を受けた膠芽腫症例において脳室開放の程度が生存予後と相関するか検討した。【方法】 2005 年 4 月~2018 年 1 月に当院で摘出術を受け、術後放射線・TMZ 化学療法を受けた初発テント上膠芽腫 111 例を対象とした。全症例を“No ventricular opening” (NVO)、“Ventricular opening, small” (VOS; 開放距離<21 mm) 、“Ventricular opening, wide” (VOW; 開放距離>21 mm) の3グループに分類した。我々は統計学的に脳室開放の程度と生存期間との相関について他の臨床病理学的因子(年齢、性別、KPS、腫瘍体積、側脳室との接触、摘出度、播種、ベバシズマブの使用、MGMT 発現、IDH1 変異)も含め解析を行った。【結果】 Log-rank 検定では年齢、KPS、摘出度、MGMT 発現、IDH1 変異、脳室開放の程度で有意差を認めた。多変量解析では、脳室開放の程度(開放距離 small vs. wide)が最も強い予後因子として検出された(ハザード比:3.674、p<0.0001)。全摘出、亜全摘出群に限定した解析においても、VOW は VOS グループよりも有意に生存期間が長かった(p<0.0001)。また脳室開放の程度(small vs. wide)の生存予後に対する影響は、統計学的に IDH1 変異または MGMT 発現の有無により影響されなかった。【結論】我々は術後放射線・TMZ 化学療法を受けた膠芽腫症例において、側脳室の wide opening が small opening よりも生存期間の延長に寄与することを示した。本結果の要因として側脳室の wide opening を行った症例では脳室下帯から、より多くの幹細胞が摘出された可能性が示唆された。