ホンマ サトシ   HOMMA Satoshi
  本間 哲
   所属   医学部 医学科(附属足立医療センター)
   職種   非常勤講師
言語種別 日本語
発表タイトル 小児心移植後における遠隔期合併症の診断と治療
会議名 第51回日本小児循環器学会総会・学術集会
主催者 日本小児循環器学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
発表者・共同発表者◎布田伸一, 本間哲, 加藤文代, 清水美妃子, 中西敏雄
発表年月日 2015/07/17
開催地
(都市, 国名)
東京都港区
学会抄録 日本小児循環器学会雑誌 31(Suppl.1)(S1),119 2015
概要 今後の増加が予想されるわが国の小児心移植の遠隔期管理について、自験例34件(移植時年齢:5か月~16歳、平均8.0歳、移植後最長経過観察24年)と海外のデータより考察する。 国際心・肺移植学会(ISHLT)のレジストリーでは、ここ10年間の小児心移植の死因は、移植後30日~3年で急性拒絶反応が第一位(18%)であり、その後は移植心冠動脈病変( CAV)が増え、5年以降は第一死因となる。その他の遠隔期問題として、移植後リンパ増殖性疾患( PTLD)、腎機能障害がある。 CAVは、冠動脈予備能低下、血管内超音波法( IVUS)での内膜肥厚で診断され、成人心移植に比して有意に低出現であるが、小児でも移植時年齢の上昇につれて頻度が増す。 PCIや CABGの血行再建術は標準的治療ではなく、 proliferation signal inhibitorであるmTOR阻害薬が期待される(7自験例で使用)が、脂質異常症、創傷治癒遅延、間質性肺炎、性腺機能低下、等に注意が必要である。 小児移植後悪性腫瘍は移植後リンパ増殖性疾患(Post-Transplant Lymphoproliferative Disorder: PTLD)であり、自験5例においても、従来の免疫抑制薬の減量~中止やmTOR阻害薬使用が効果的である。 ISHLTレジストリーによると、血清 Cr>2.5mg/dlの腎機能障害例は、移植10年後に11%まで増加し、その半数に透析療法や腎移植が必要になる。自験8例では、移植術後1~2年目のカルシニューリン阻害薬(CNI)が比較的高濃度で推移中の時期は Ccr低下を認めたが、その後 CNI血中濃度が低下するにつれて回復する症例もある。近年は mTOR阻害薬を併用し CNIを減ずることで、その回復を早める可能性もある。 小児心移植後の予後は良好で、自験4例が死亡または再移植例であるが、移植後 QOLは極めて良好で、移植後の成長も順調である。