カワマタ タカカズ   KAWAMATA Takakazu
  川俣 貴一
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
言語種別 日本語
発表タイトル 頭蓋内胚細胞腫における髄液中 PLAP 値を基盤とした実践的部位別治療法の確立
会議名 第39回日本脳腫瘍学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎藍原康雄, 千葉謙太郎, 村垣善浩, 川俣貴一
発表年月日 2021/12/05
開催地
(都市, 国名)
神戸
開催期間 2021/12/05~2021/12/07
学会抄録 第39回日本脳腫瘍学会学術集会 プログラム・講演抄録集 153
概要 21:00~21:30 ポスター 11 小児脳腫瘍 1
座長 香川 尚己P1-58
Keyword: 頭蓋内胚細胞腫, 髄液中PLAP値, liquid biopsy
【背景】これまで、頭蓋内胚細胞腫の診断における髄液中胎盤性アルカリフォスファターゼ(PLAP)値測定の有用性については報告してきた。その後も症例を重ね、頭蓋内胚細胞腫の部位別における PLAP 値を基盤とした実践的治療プラン構築経過を報告する。
【症例】2004-2020 年での当施設で治療を行った、頭蓋内胚細胞腫 92 症例。2004-2014 年間は、病理学的組織診断と髄液中 PLAP 値を併用しての治療戦略を構築した。2014 年以降は、鞍上部、松果体部、基底核部、その他小脳病変別に PLAP値を中心基盤とした治療プランの立案に移行し、現在では細胞診断は必須とせず PLAP 値単独での実践的治療プランを構築し実践している。(Pediatric Neurosurgery;2013,JNS;2018, Brain Tumor Pathology;2020,J Neurooncol;2021) 【方法】 鞍上部・水頭症非合併群;腰椎穿刺にて髄液中 PLAP 値が 8(pg/ml)以上を陽性(頭蓋内胚細胞腫:胚腫成分の含有率)と判断し、他の腫瘍マーカー(HCG,HCG-β,AFP,CEA)と相互判断で化学療法レジメを選択し放射線療法も含めた集学的治療法に移行する。松果体部病変においても水頭症非合併・合併群において同様の治療戦略であるが、未熟奇形腫の場合には PLAP 値が陰転化した時点で放射線療法施行前に外科的摘出術介入を検討する。基底核部病変は PLAP 値をもとに鑑別診断、悪性度分類を行い化学療法・放射線療法のレジメを決定する。
【結論】頭蓋内胚細胞腫の鑑別診断のみならず、集学的治療戦略の立案、変更、終着点を決定する上で、髄液中 PLAP 値は更に liquid biopsy として重要な役割を果たすことが期待できる。今後は、多施設において病理結果との相互検証を深め、PLAP 値を基盤とした険適応診療も視野に入れた治療プロトコール確立に繋げたい。