カワマタ タカカズ   KAWAMATA Takakazu
  川俣 貴一
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
言語種別 日本語
発表タイトル 光線力学療法後の膠芽腫細胞の耐性化ならびに悪性化獲得メカニズムについての検討
会議名 日本脳神経外科学会第78回学術総会
主催者 一般社団法人 日本脳神経外科学会
学会区分 国際学会及び海外の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎小林達弥, 村垣善浩, 和田孝次郎, 森健太郎, 川俣貴一, 市村幸一, 富山新太
発表年月日 2019/10/11
開催地
(都市, 国名)
大阪
学会抄録 日本脳神経外科学会第78回学術総会 27 2019
概要 デジタルポスター 118
グリオーマ 基礎研究①
2019 年10 月11 日(金) 14:15-15:15  
DP-7 会場½ 大阪国際会議場10F 控室10-2
座長:夏目敦至(名古屋大学脳神経外科)【背景】近年、本邦においてタラポルフィンナトリウム(NPe6: 商品名レザフィリン)を用いた光線力学療法(NPe6-PDT)が膠芽腫に対する治療に用いられようになり、良好な治療成績が報告されてきている。一方で、更なる治療成績の向上には治療耐性の克服や治療メカニズムの詳細な検討による効率の良い照射法の改善が必要であると考えられる。本研究では in-vitro におけるヒト膠芽腫細胞の NPe6-PDT モデルを構築し、細胞死を制御する分子機構を解明することを目的とする。【方法】市販のヒト膠芽腫培養細胞株を使用した in vitro PDT モデルとして、NPe6(0-30ug/ml)投与後 4 時間目に PD レーザー照射(波長 664nm、照射密度 33mW/cm2、総照射量 10J/cm2)を施行した。その時点での NPe6 の細胞内取り込みを分析し、PDT前後の細胞内活性酸素種(ROS)発生及び細胞死の程度を解析した。この実験モデル確立後、患者由来の膠芽腫幹細胞株を用いて同様の解析を行った。また、これらの細胞を用いて PDT に対する耐性株を樹立し、細胞内分子シグナル伝達の変化や悪性化の変化を解析した。【結果】市販のヒト膠芽腫細胞株ならびに患者由来の膠芽腫幹細胞株において、NPe6 投与量ならびにレーザー照射量に依存して細胞内活性酸素(ROS)の産生が認められ、この細胞内 ROS 産生量に依存して細胞死誘導が確認された。また、ヒト膠芽腫細胞株でのNPe6-PDT による細胞内シグナルの変化として、ストレスシグナルの活性化および生存シグナルの抑制が観察された。これに対し NPe6-PDT 耐性株においては NPe6 の細胞内取り込み低下ならびに細胞内 ROS 産生の増加、細胞浸潤能の亢進が認められた。【結語】通常 NPe6-PDT の効果は NPe6 の細胞内取り込み量と細胞内ROS 産生量に依存するが、耐性株では ROS 産生が細胞死に結びつかない結果が示された。現在、各膠芽種細胞間の効果の違いを規定する因子の解析や NPe6-PDT 後の耐性化ならびに悪性化形質獲得の分子メカニズム等について更なる解析を進めている。