ヤマザキ ケンジ   KENJI YAMAZAKI
  山崎 健二
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   客員教授
言語種別 日本語
発表タイトル 左室補助人工心臓補助下の大動脈弁逆流進行が血行動態および心筋酸素代謝に与える影響
会議名 第47回日本心臓血管外科学会学術総会
主催者 日本心臓血管外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎飯塚慶, 西中 知博, 秋山 大地, 武輪 能明, 水野 敏秀, 築谷 朋典, 巽 英介, 山崎 健二
発表年月日 2017/02/28
開催地
(都市, 国名)
東京都
概要 *一般口演23/心不全・VAD・心臓移植
【目的】左室補助人工心臓(LVAD)補助下の大動脈弁閉鎖不全症(AR)は、LVADにより送血された血液がARによって左心室に戻るrecirculationを引き起こし、時に循環維持を困難にする合併症の一つである。急性大動物実験にて、ARの進行がLVAD補助下の血行動態および心筋酸素代謝に与える影響について検討した。【方法】成ヤギ5頭に対し、左室心尖部脱血、下行大動脈送血にてLVAD植え込みを施行した。左室心尖部より経カテーテル的に下大静脈フィルターを大動脈弁位に挿入し、大動脈弁の閉鎖を妨げることでARモデルを確立した。ARの程度を変化させ、大動脈圧、左心室圧、左心房圧、中心静脈圧、肺動脈流量、LVAD流量、冠動脈流量を測定した。また大動脈および冠静脈洞より採血し、心筋酸素供給量、消費量、消費率を求めた。【結果と考察】ARの程度を増強させると、LVAD流量は肺動脈流量を超えて上昇した。この差はrecirculation流量を表すと考え、LVAD流量に対するrecirculation流量の割合を計算し、recirculation率として定義した。recirculation率の上昇に伴い、収縮期左室圧、平均左房圧は有意に上昇した。中心静脈圧は一定の傾向を示さなかった。左心系の圧上昇についてはrecirculation率が50%を超えると急激に進行した。ARの進行がrecirculationの増加を招き、LVADによる左心系の圧負荷軽減効果を妨げていることが示唆された。心筋酸素代謝に関しては、recirculation率の上昇に伴い冠動脈流量が減少し、心筋酸素消費率は有意に上昇した。ARの進行は心筋酸素代謝の観点からもLVAD循環に悪影響を及ぼすことが示唆された。【結論】LVAD補助下のAR進行は、血行動態および心筋酸素代謝の双方の観点からLVAD補助の妨げとなることが示唆された。