イナイ ケイ   Inai Kei
  稲井 慶
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル Fontan循環の妊娠の問題点と管理
会議名 第66回日本心臓病学会学術集会
主催者 日本心臓病学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
発表者・共同発表者◎稲井慶
発表年月日 2018/09/09
開催地
(都市, 国名)
大阪府大阪市
概要 *成人先天性心疾患問題検討委員会セッション / ACHDの血行動態からみた妊娠の問題点(妊娠中の薬物治療の問題点を含む)

東京女子医科大学循環器小児科ではこれまでフォンタン術後患者の妊娠分娩を16人17出産経験している。出産にいたった中では死亡したケースは母体、児ともにないが、早産やIUGRが多く、母体の心不全管理など慎重に対応しなければならない問題点が多い。当科で経験した症例を通じてフォンタン術後成人女性の妊娠と分娩管理について考えたい。【症例】28歳、女性【診断】多脾症、{A(S),L,L}L型大血管転位症、左室低形成、心室中隔欠損、冠静脈洞左房交通【手術歴】1990.9.26 Fontan手術 (intra atrial conduit and LSVC-LPA anastomosis)術後1ヶ月カテ;C.I 2.9L/min/m2, CVP17, LA10術後10年カテ; C.I. 2.3L/min/m2, CVP11, LA8【妊娠経過】術後はNYHA Iで経過。SaO2 94%で比較的安定しており、元気にすごしていた。 しかし、2005-2010まで海外在住で受診がまったく途絶えていた。2010年10月妊娠10週で当科外来を紹介。この時点でNYHA I。その後当科と産科を月1回受診しながら経過観察されていたが、胎児発育も順調であった。35週に入って易疲労感、浮腫が増悪し、BNPが60から210と上昇した。当初は通常の経膣分娩を考えていたが、心不全管理目的で入院安静とした。その後BNPは549まで上昇し、37週1日予定帝王切開を施行。児は2018gのSFD児(-1.7SD)であった。【出産後経過】出産後いったんは心不全症状も改善しBNPも200まで低下して退院した。しかし、出産後1カ月で再度浮腫が増悪、BNPは最大867まで上昇し、心不全管理目的で入院となった。本症例について、妊娠中の心機能や弁機能から出産後の経過を含めて問題点を検討するとともに、当科でのフォンタン後の妊娠出産症例の概要を報告する。