アヅマ タカシ   AZUMA Takashi
  東 隆
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 分枝用ハイドロゲルポートを備えたステントグラフトによる弓部大動脈瘤血管内治療
会議名 第72回日本胸部外科学会定期学術集会
主催者 日本胸部外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎東隆, 横井良彦, 道本智, 磯村彰吾, 小林慶, 日野阿斗務, 中前亨介, 吉田尚司, 新浪博士
発表年月日 2019/11/02
開催地
(都市, 国名)
京都市
概要 *一般口演 44
新しい手術手技・イノベーション

【背景】我々は Hydrogel connecting port を備えた枝付きステントグラフトを考案し弓部大動脈瘤に対し臨床応用を行った。開窓型ステントグラフトである Najuta ステントグラフト(川澄化学社製、大分)をベースとして開窓部分をより機能的なコネクティングポートに置き換えることで開窓としての機能を果たすだけでなく、必要に応じて弓部分枝用の枝を追加できる仕様とした。

【方法】 2017 年 9 月から 2019 年 3 月までに 50 例を同一術者により施行した早期成績を検討する。コネクティングポートは頸部分枝の径に合わせて作成し(7mm から 11mm)、術前の 3DCT 画像にあわせて分枝開口部に合わせてステントグラフトに逢着した。すべての分枝用にコネクティングポートを逢着したがポート部分からのエンドリークの可能性が無い場合には開窓部として機能させた。動脈瘤の中枢側への伸展は zone 0 が 5, 例 zone 1 が 17 例、zone 2 が 25 例、zone 3 が 3 例であった。

【結果】手技成功率は 100 %であった。すべての症例で中枢は Zone 0 にランディングを行った。頸部分枝の再建は 0 枝から 4 枝がそれぞれ 3 例、25 例、16 例、5 例、1 例であった。分枝の閉塞や脳梗塞は認めなかった。1 例 Shaggy aorta の症例で術後 2 日目に腸管壊死により失った。

【結語】コネクティングポートとして機能する開窓部をもったステントグラフトの臨床応用は世界初の試みである。従来の枝付きステントグラフトはシース径が太く、留置手技が煩雑になるため脳梗塞などの発生率が高い欠点があったが、開窓部分をコネクティングポートとして利用するアイデアにより通常の開窓型デバイスよりも脳梗塞合併症が減るという結果であった。本デバイスでは枝を連結することを前提としているため開窓部分からのエンドリークに対してバルーンをする手技が必要なくなったことや、より中枢側から留置可能となったことで弓部でのステントグラフトの挙動が脳梗塞発生を減らす方向に効果があったと考えられる。