アヅマ タカシ   AZUMA Takashi
  東 隆
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 感染性動脈瘤に対する手術戦略と治療成績
会議名 第49回日本心臓血管外科学会学術総会
主催者 日本心臓血管外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
発表者・共同発表者◎中前亨介, 古田晃久, 磯村彰吾, 東隆, 横井良彦, 道本智, 菊地千鶴男, 齋藤博之, 齋藤聡, 新浪博士
発表年月日 2019/02/11
開催地
(都市, 国名)
岡山県岡山市
概要 *会長要望14
感染性大動脈瘤に対する治療方針

[背景]感染性動脈瘤は比較的稀な疾患であるが,致死率は高く,治療に難渋することも多い.本研究では当院での感染性動脈瘤の治療戦略をレビューするとともに,手術を施行した13例の成績について検討し,治療戦略の妥当性を評価した.[方法]2007年8月から2018年9月の間に当院で手術した13例の感染性動脈瘤症例を後視方的に診療録より調査した.本研究において,感染性動脈瘤の臨床診断は,原因不明の長期発熱を伴い,CT検査での動脈瘤の存在や,血液培養,瘤壁や瘤内容物の培養,病理所見などから総合的に行った.活動期の感染性動脈瘤のうち切迫破裂を示唆する症例,または短期間に瘤径の拡大を認める症例では緊急ないしは凖緊急で手術を行い,その他の症例では十分な抗菌薬投与を行い,待機的に手術を行った.術式の選択については開心術を基本としつつも,全身状態や既往手術などから血管内治療が望ましいと判断した場合はステントグラフト治療を選択した.[結果]平均年齢73.3±9.2歳,男女比10:3,併存疾患は高血圧症12例,脂質異常症2例,糖尿病10例(インスリン使用5例),慢性腎不全(透析)1例であり,結合織異常は認めなかった.また,開心術の既往は0例,開腹の既往を有する症例は2例であった.感染瘤の部位は胸部動脈が4例,胸腹部および腹部動脈3例,総腸骨動脈1例,大腿動脈2例であり,起因菌は連鎖球菌1例,MSSA1例,CNS1例,MRSA1例,大腸菌1例,サルモネラ1例,不明7例だった.活動期に動脈瘤破裂と食道穿破および切迫破裂を認めた2例に対して緊急手術を施行した.凖緊急症例は3例,8例は待機的に手術を行い,人工血管置換術3例,ステントグラフト留置術8例,仮性瘤修復術2例であった.待機的手術症例では術前平均52.3日間の抗菌薬投与を行い,術前CRPは平均で活動期症例11.08mg/dl,非活動期症例0.33mg/dlであった.周術期死亡はないが,2例は創傷感染に対してデブリードマンを要した.平均観察期間は1±1.17年で,観察期間中の死亡例はないが,2例でエンドリークに対して追加TEVARと再破裂に対してTEVARおよびコイル塞栓術を行った.ステントグラフト症例での再感染症例は8例中1例であった.[結語]当院における感染性動脈瘤の治療成績は生存率,再手術回避率において良好であり,手術戦略は妥当であった.非活動期におけるステント治療は有効であり,今後の手術選択肢の一つとして考慮しうると考える.