アヅマ タカシ   AZUMA Takashi
  東 隆
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 傍腎動脈腹部大動脈瘤に対するハイドロゲルポートを用いた枝付ステントグラフトの成績
会議名 第49回日本心臓血管外科学会学術総会
主催者 日本心臓血管外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
発表者・共同発表者◎東隆, 横井良彦, 道本智, 磯村彰吾, 服部薫, 小林慶, 柏村千尋, 澤真太郎, 日野阿斗務, 入江翔一, 中前亨介, 阿瀬孝治, 池原大烈, 新浪博士
発表年月日 2019/02/11
開催地
(都市, 国名)
岡山県岡山市
概要 *会長要望11
傍腎動脈腹部大動脈瘤の治療戦略
背景:本邦では企業性の開窓/枝付ステントグラフトが薬事承認されていないため傍腎動脈腹部大動脈瘤の治療にはチムニー法や自作開窓法を用いて治療を行う必要がある。しかしながらチムニー法ではガターリーク、開窓法では遠隔期のマイグレーションによるエンドリークが問題になる。我々は腹部用ステントグラフトに開窓し、開窓部にAzurハイドロゲルコイル(テルモ社、日本)を円柱状に逢着し接合部エンドリークの発生しない分枝用ポートを自作し枝付ステントグラフト治療を可能にする方法を考案した。方法:傍腎動脈腹部大動脈瘤の症例に対しハイドロゲルポートを用いて治療した8例(年齢80±5、男女比7:1)の初期成績を検討した。7例のうち2例でY型人工血管置換術、1例にEVARの既往があった。結果:使用したメインボディはZenith Flex(クック社、USA)6例、Endurant(メドトロニック社、USA)2例であった。全例で分枝用にViabahn(ゴア社、USA)を使用した。片側腎動脈再建4例、両側腎動脈再建2例、上腸間膜動脈+両側腎動脈再建2例であった。手技成功率は100%、平均の手術時間は片側腎動脈再建症例で150±36分、両側再建で166±65分であった。術後の造影CTでは接合部リークを含むエンドリークを認めなかった。考察:今回我々は再収納および開窓加工のしやすさを考慮し主にZenith Flexを選択したが、ネックが屈曲した症例ではEndurantを選択した。Zenith Flexは開窓加工がしやすく腹部4分枝用のポートを逢着することが可能であるが長いZステントをしっかり中枢ランディングゾーンに乗せる必要がある。そのため再建する必要のない分枝まで開窓する必要がでてくる。一方でEndurantはZステントが短く屈曲した中枢ランディングゾーンにも精度の高い留置が可能であるが、開窓加工と再収納が難しいためこのような使用方法には不向きであると考えられていた。しかしながらポートの口径を5-6mm程度まで小さくすること開窓加工及び再収納が容易になり片側の再建で済む場合には良い適応であった。ハイドロゲルポートは血液に暴露されることで膨潤し分枝用ステントグラフトとの強固な接合が可能となる。更には生体内で分解されない性質を有するため将来的なマイグレーションやエンドリーク発生の危険性は低いと考えられる。結語:本法の早期成績は良好であった。まだ新しい技術であり遠隔成績はまだ不明であるため今後も注意深い経過観察が必要である。