クボタ ユウイチ
  久保田 有一
   所属   医学部 医学科(附属足立医療センター)
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル 脳腫瘍摘出術時の術中言語線維モニタリングとしての皮質-皮質間誘
発電位の有用性:初期13例の経験
会議名 日本脳神経外科学会第73回学術総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎齋藤太一, 田村学, 村垣善浩, 丸山隆志, 久保田有一, 新田雅之, チエルノフミハイル, 岡本沙織, 杉山 一彦, 栗栖 薫 , 伊関洋, 岡田芳和
発表年月日 2014/10/11
開催地
(都市, 国名)
東京都
学会抄録 日本脳神経外科学会第73回学術総会  
概要 【目的】覚醒下手術は機能温存とともに積極的摘出に貢献する標準的手技として本邦でもガイ
ドラインが策定され保険収載された。一方で術中の言語機能評価は容易ではなく、覚醒不良に
よる偽陽性の判断や言語野と陰性運動野との鑑別等習熟が必要な部分も多い。また術中皮質下
刺激による言語関連線維の局在評価も、必ずしも言語機能野間でのconnectivityを証明するも
のではない。近年てんかん外科において皮質領野間ネットワークの評価手法として、慢性硬膜
下電極による皮質-皮質間誘発電位(cortico-cortical evoked potential: CCEP)が注目され
ている。我々は、上縦束近傍腫瘍の摘出に対する術中言語線維モニタリングとしてCCEPを13例
に応用したので報告する(J Neurosurg in press)。
【方法】対象は2006~2012年に、術中CCEPによるモニタリングを併用し摘出術を行った言語野
近傍腫瘍 13例。皮質マッピングにより前頭葉言語野(FLA)と側頭葉言語野(TLA)を同定した
後、各々の領域にstrip電極を留置した。一方の言語野から相互に両方向性に電気刺激を行い
他方でCCEPを記録した。
【結果】13例中12例は覚醒下手術による摘出を行った。1例でCCEPを検出できなかった。CCEP
はFLAからTLA方向で5例に、TLAからFLAで7例に検出可能であり、平均潜時は83±15msであっ
た。不変例:5例、低下例:4例、消失例:3例であり、術中・術後言語機能は不変例では増悪
なく、低下・消失例では増悪を認めた。術後言語機能回復までの平均期間は、不変、低下、消
失例で各々1.8、5.5、11.0ヶ月であり有意差を認めた(p < 0.01)。全身麻酔下に手術を行っ
た1症例では、術中CCEPは不変であり、術後言語機能の増悪は認められなかった。
【結論】腫瘍摘出術における術中CCEPモニタリングは、タスクを必要としない、より客観的な
言語機能特に言語線維の評価が可能であることが示唆された。CCEPは、術中・術後言語機能と
も有意に相関し、今後全身麻酔下での手術における言語機能のモニタリング手法としても発展
することが期待される。