ドウモト サトル
  道本 智
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 大動脈弓部病変に対する開窓型ステントグラフトを用いた Zone0-1 TEVAR の中期成績からみる今後の治療展望
会議名 第72回日本胸部外科学会定期学術集会
主催者 日本胸部外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎古田晃久, 東隆, 横井良彦, 道本智, 磯村彰吾, 新浪博
発表年月日 2019/11/01
開催地
(都市, 国名)
京都市
概要 *一般口演 28
大動脈基部・上行弓部 1

【目的】ステントグラフトデバイスの発達により TEVAR の治療適応は弓部大動脈病変まで拡大されつつあるが、解剖学的特徴から難易度は高い。開窓型ステントグラフト(FEG)は簡便かつ非侵襲的治療というコンセプトを基に開発され、その第 2 世代のグラフトは 2010 年から臨床研究を経て現在本邦で多く使用されている。本研究では 2010-2011 年に行われた FEG 第 2 世代の臨床研究における、術後 5 年中期成績を検討するとともに、現状の問題点から今後の治療展望について考察する。

【方法】 2010 年から 2011 年に本邦(35 施設)で FEG を用いて Zone0 または 1 へ TEVAR を施行した症例のうち、追跡可能であった 202 例を対象に術後 5 年での成績を調査した。手術は呼吸機能低下症例を除き全身麻酔下で行い、Pull through 法を用いて FEGを留置し、患者背景や解剖学的要素により左鎖骨下動脈閉鎖、非解剖学的バイパスを追加した。

【結果】平均年齢 74.5 ± 9.0 歳、男女比 179:23、疾患は大動脈瘤 189 例(紡錘状瘤 81 例、嚢状瘤 108 例)、大動脈解離 12 例、その他 1 例であり、大動脈瘤近位側または解離エントリー部位は Zone0、1、2、3、4 の順に 6 例、52 例、103 例、35 例、21 例であった。非解剖学的バイパス 13 例、左鎖骨下動脈閉鎖 150 例、術中エンドリーク(EL)7 例であり、デバイス中枢側は Zone0、1 がそれぞれ 196 例、6 例で、平均 fenestration 数 2.6 ± 0.5 本、平均デバイス数 1.6 ± 0.6 本であり、平均手術時間 164 ± 88 分、Initial success 100 %、Technical success 94.1 %、術中合併症はアクセス血管損傷 3 例、頚部血管狭窄/閉塞 2 例、急性大動脈解離 3 例、末梢動脈閉塞 1 例であった。平均追跡期間 3.6 ± 1.9 年、術中合併症を除く中期における合併症は脳梗塞 12 例(5.9 %)、脳出血 1 例(0.5)%、対麻痺 3 例(1.5 %)、大動脈解離 2 例(1.0 %)、デバイス移動 3 例(1.5 %)、グラフト破損 4 例(2.0 %)、頸部分枝狭窄 0 例(0 %)であった。術後 5 年において全生存率 76.9 ± 3.3 %、血管関連死回避率 96.6 ± 1.5 %、再手術回避率 84.6 ± 3.0 %であり、再手術原因は瘤径拡大 21 例(10.3 %)(全て EL で TypeIa11 例、TypeII4 例、TypeIII4 例、TypeIV2 例)、大動脈解離 1 例(0.5 %)、グラフト感染 1 例(0.5 %)、脳虚血 1 例(0.5 %)であった。

【結語】弓部大動脈病変に対する FEG を用いた TEVAR の中隔期成績は、他の Debranching TEVARや Chimney 法などの術式と比較して手術成功率、血管関連死回避率の点で良好であった。しかし、遠隔期における脳梗塞や瘤径拡大、特に Type IaEL の発生率が比較的高く、これらを予防することが今後の弓部大動脈病変に対する FEG の課題である。