ナカヤマ ユウキ   NAKAYAMA Yuki
  中山 祐樹
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 当院におけるTCPC conversionの治療経験
会議名 第49回日本心臓血管外科学会学術総会
主催者 日本心臓血管外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
発表者・共同発表者◎寶亀亮悟, 新川武史, 松村剛毅, 中山祐樹, 小林慶, 新浪博
発表年月日 2019/02/13
開催地
(都市, 国名)
岡山県岡山市
概要 *会長要望34
単心室症における成人期手術

【目的】TCPCコンバージョンの治療成績は近年向上している。当院でのTCPC conversionの治療成績を解析し成績向上に寄与した因子を分析した。【対象と方法】2004年から2016年まで当院で成人期にTCPC conversionを施行した44例を対象とした。2010年までに施行した患者群をE群(22例)、2011年以降に施行した患者群をL群(22例)とし比較検討した。追跡期間はそれぞれ7.8±4.3年、3.5±1.5年であった。【結果】術前因子として年齢、前回のFontan手術からの年数、主要心室、前回のFontan手術の術式、内臓錯位症、BNP、術前カテーテル検査でのEF、CVP、EDPに有意差は認めなかったが、CVPだけL群で低い傾向にあった(13.1±4.1 vs 11.2±2.3mmHg, p=0.07)。発作性不整脈まで含めた術前不整脈合併率は両群で有意差は無かったが(59.1 vs 63.6%, p=0.76)、基本調律の術前洞調律維持率はL群で有意に多かった(68.3 vs 95.5%, P=0.02)。また当院では2010年頃より術前にEPSおよび必要に応じてアブレーション行い術中の不整脈手術を縮小するように方針転換した。そのため術前にEPSを行った症例はL群に多く(6 vs 14例, p=0.01)、アブレーションは有意差は無かったがL群に多い傾向にあった(6 vs 12例, p=0.07)。手術時間、人工心肺時間は両群間で有意な差は無かったが、大動脈遮断時間はL群で有意に短かった(131.3±26.9 vs 107.3±39.1分, p=0.03)。術中の不整脈手術は上記理由によりE群で有意に多かった(17 vs 9例, p=0.01)。早期死亡はE群で術中からの出血・LOSで2例死亡したのに対し、L群ではなかった。遠隔期死亡はE群で心不全2例、致死性不整脈1例の合計3例であったが、L群ではなかった。両群間の生存率は有意にL群の方が高かった(log-rank, p=0.04)。ペースメーカーを術中に植込んだ症例はE群で有意に多かった(14 vs 5例, p=0.01)が、術後追加した総数では有意差は認めかった(16 vs 11例, p=?)。術後のBNP、カテーテル検査でEF、CVP、EDPに意差は認めなかった。1年、3年の術後不整脈回避率はE群、L群でそれぞれ60.0% vs 86.4%、50% vs 74.8%で、E群で悪い傾向にあった(p=0.06)。【考察と結語】E群とL群間に術前因子の相違は見られたものの(CVP、洞調律維持率)、L群での成績向上に術前EPSおよびアブレーションが寄与したと思われた。ペースメーカーの植込みは必要に応じて積極的に術中の植込みを考慮すべきである。