ヤマモト ユイ
  山本 唯
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 腎機能低下を有する正常アルブミン尿糖尿病
会議名 第62回 日本糖尿病学会年次学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者西脇 唯 ,花井 豪,田内恵理子, 森 友実 ,横山陽一 ,山下真平 ,竹村俊輔 ,吉田直史 ,入村 泉 ,馬場園哲也
発表年月日 2019/05/24
開催地
(都市, 国名)
仙台
概要 【背景・目的】近年,高齢化,腎硬化症の増加,さらにはレニン・アンジオテンシン系阻害薬使用の増加により,腎機能低下を認めるにもかかわらず,正常アルブミンに留まる糖尿病患者が増加している.しかし,このような患者における腎機能の推移については不明である.そこで本研究は,腎機能低下を有する正常アルブミン尿の2型糖尿病患者における腎予後および腎機能の経年変化を明らかにすることを目的とした.
【対象・方法】研究デザインは一施設のヒストリカル・コホートを用いた観察研究である.2003年8月から2017年6月までに当科外来通院中であった成人2型糖尿病患者7,152名(女性2,565名,平均年齢61歳)を対象とし,アルブミン尿(正常・微量または顕性アルブミン尿)およびeGFR(60 mL/min/1.73m2以上または未満)により6群に分類した.主要エンドポイントをeGFRの観察開始時から30%以上の低下または腎代替療法の開始,副次エンドポイントを年間eGFR低下率とした.なお,eGFR低下率は2年以上観察し得た5,791名を対象とした.
【結果】中央値5.7年の観察期間中1,374名が主要エンドポイントに達した.正常アルブミン尿・腎機能正常群 (n= 3,881) に対する多変量調整後のハザード比は,正常アルブミン尿・腎機能低下群 (n= 823) 1.55,微量アルブミン尿・腎機能正常群 (n= 1,010) 2.74,微量アルブミン尿・腎機能低下群 (n= 508) 4.15,顕性アルブミン尿・腎機能正常群 (n= 235) 10.00,顕性アルブミン尿・腎機能低下群 (n= 695) 29.02であった(いずれもp< 0.001).次に,多変量で調整したeGFR低下率 (最小二乗平均±標準誤差,mL/分/1.73m2/年) は正常アルブミン尿・腎機能正常群0.XX±0.XX,正常アルブミン尿・腎機能低下群0.66±0.10,微量アルブミン尿・腎機能正常群 1.07±0.04,微量アルブミン尿・腎機能低下群 1.50±0.12,顕性アルブミン尿・腎機能正常群 5.07±0.18,顕性アルブミン尿・腎機能低下群4.28±0.13であり ,正常アルブミン尿・腎機能低下群は正常アルブミン尿・腎機能正常群以外の4群に対して有意に低値であった (すべてp< 0.01).
【結論】腎機能低下を有する正常アルブミン尿糖尿病患者の腎予後は比較的良好であり,腎機能低下速度は極めて緩徐であった.