コバヤシ ケイ
  小林 慶
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 経皮的抜去術全盛時代のCIED感染症に対する開心・開胸手術例の検討
会議名 第47回日本心臓血管外科学会学術総会
主催者 日本心臓血管外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎村上弘典, 齋藤聡, 柏村千尋, 小林慶, 勝部健, 立石実, 梅原伸大, 山崎健二, 庄田守男, 逸見隆太
発表年月日 2017/02/27
開催地
(都市, 国名)
東京都
概要 *ポスターセッション/周術期管理③
目的;近年、心血管系植え込み型電子機器(CIED)感染症例の増加、重症化が認められる。現在デバイス抜去術はレーザーシースの使用を主とした経皮的抜去術が主な治療法であるがなお開心・開胸によるデバイス抜去術が必要となる症例も認められる。このような症例群の臨床像を検討し、開胸・開心術の適応、術式の詳細、術後成績について検討し、その問題点について考察した。対象と方法:2005年から2016年までに、当院でのCIED感染症 268例のうち27例(10.1%)で開心・開胸手術が必要であった。男・女は20・7人、平均年齢は59.5歳であった。糖尿病合併は8例(29.6%)、腎機能障害15例(55.6%)、透析患者は2例(7%)であった。初回感染からの期間は平均4.76年であり、抜去されたデバイスとしてはペースメーカーが18例(67%)であった。術前の心臓超音波検査では、14例(51.8%)に疣贅を認め、その内8例に直径20mmを超える巨大疣贅を認めた。術前の培養検査では重複含めCNS、S.epidermidis、MSSA、MRSAを15例に認めたが、術中の創部、組織培養からは11例(40.7%)でS.epidermidisを認めた。開胸手術の適応は、リード穿孔9例(33%)、迷入リード6例(22.2%)、巨大疣贅8例(29.6%)、石灰化を有する癒着6例(22.2%)であった。開心術が必要であったのは10例(37.0%)でその適応は巨大疣贅4例、高度石灰化・癒着 5例、術中出血による開心術移行 1例であった。結果;手術のアプローチは、左または右側開胸3例、上半分正中切開4例、正中切開20例であった。またこのうち10例で上大静脈閉塞を合併していた。開心術は全例心拍動下に抜去した。抜去リードは平均2.96本で、手術は26例(96%)で抜去に成功、1例のみ癒着、高度石灰化にて抜去不可能であった。術後30日以内の合併症は1例(3%)に認め、誤嚥性肺炎による敗血症で一例を失った。2016年9月で25例(92.5%)の生存確認し、再度のデバイス植え込み後も感染再発のないことを確認した。結語1.経皮的抜去術全盛時代においても開胸開心術の必要性は一定の可能性で認め、様々な適応に対応し適切な術式の選択が必要である。2.術前よりハートチームとして充分な議論を行い、術式の決定が有用である。