フルタ アキヒサ
  古田 晃久
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 左室流出路狭窄に対するKonno手術とRoss手術の長期遠隔成績
会議名 第47回日本心臓血管外科学会学術総会
主催者 日本心臓血管外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎五十嵐仁, 坂本貴彦, 長嶋光樹, 松村剛毅, 上松耕太, 西森俊秀, 古田晃久, 山崎健二
発表年月日 2017/02/28
開催地
(都市, 国名)
東京都
概要 *シンポジウム3/小児大動脈弁疾患の外科治療戦略
【目的】左室流出路狭窄に対する外科治療は最近の数十年で発展を遂げてきており、今後もさらなる発展が見込まれている。当院では1975年にKonno手術を初めて報告し、狭小弁輪症例に対して積極的に導入し、機械弁サイズは男性25mm以上、女性23mm以上を基本的方針として選択してきた。その一方で、1967年にRoss手術が初めて報告されたのち、当院でも1996年より導入している。今回我々はKonno手術、Ross手術の長期遠隔期成績を検討した。【対象および方法】1984年以降に施行された機械弁を用いたKonno手術63例(K群)と1996 年以降に施行されたRoss手術(R群)68例を後方視的に検討した。手術時の主診断はK群が大動脈弁狭窄(AS)24例、大動脈弁狭窄兼閉鎖不全(ASR)31例、大動脈弁逆流(AR)6例、感染性心内膜炎(IE)2例であり、R群がAS12例、ASR34例、AR18例、IE4例であった。【結果】K群の手術時年齢は11.3±7.7歳、手術時体重は31.1±15.2kg、手術時間174.8±40.5分、心停止時間108.4±21.3分であった。基本方針通りの機械弁を選択することができたのは57例(90.5%)であった。R群の手術時年齢は17.7±10.1歳、手術時体重は37.8±20.9kg、手術時間218.4±39.6分、心停止時間163.0±85.7分であった。右室流出路再建法は心外導管61例、前方パッチ3例であった。術後観察期間はK群16.5±7.5年、R群9.9±4.9年であった。K群の早期死亡は1例(周術期心筋梗塞)、遠隔期死亡は6例(突然死2例、慢性心不全2例、感染性心内膜炎1例、交通事故1例)で認め、R群の早期死亡は認めず、遠隔期死亡は1例(慢性心不全)で認めた。累積生存率は,K群の5年、10年、20年でそれぞれ93.1%、93.1%、89.0%であり、R群の5年、10年でそれぞれ98.5%、98.5%であった。大動脈弁に関する再手術を要したのはK群で5例(血栓弁3例、パンヌス形成による人工弁機能不全1例、人工弁感染性心内膜炎1例)であり、R群で12例(大動脈弁置換術11例、Bentall手術1例)であった。大動脈弁に関する再手術回避率はK群の5年、10年、20年でそれぞれ96.6%、92.4%、89.6%であり、R群の5年、10年でそれぞれ91.7%、83.9%であった。【結語】左室流出路狭窄に対するKonno手術とRoss手術の成績は満足できるものであった。Konno手術においては抗凝固療法および感染性心内膜炎、Ross手術においては移植自己肺動脈弁の経過および基部拡張が懸念され、今後も慎重な経過観察が必要とされると考えられた。