アイハラ ヤスオ   AIHARA Yasuo
  藍原 康雄
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル CUSA 検体を活用した術中フローサイトメトリーと MLPA 解析の臨床的意義
会議名 第43回日本脳腫瘍学会学術集会(JSNO2025)
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎呂聞東, 郡山峻一, 小林達弥, 千葉謙太郎, 藍原康雄, 川俣貴一, 増井憲太, 小森隆司, 田村学, 正宗賢
発表年月日 2025/12/07
開催地
(都市, 国名)
山形県天童市
開催期間 2025/12/07~2025/12/09
学会抄録 第43回日本脳腫瘍学会学術集会 プログラム・抄録集 135
概要 12/7 22:00 ~ 22:30 ポスター 12 分子病理学・分類 4
座長 有田 英之
【背景】悪性脳腫瘍手術において、Cavitron Ultrasonic Surgical Aspirator(CUSA)により破砕・吸引される腫瘍組織は通常廃棄されているが、腫瘍細胞を豊富に含む検体としての活用が期待されている。術中迅速診断や分子解析には、術中フローサイトメトリー(iFC)や多重連結プローブ増幅法(MLPA)が有用である。しかし、CUSA吸引物の回収法や検体の品質が術中診断・分子解析に適合するかについては検討が十分でない。<BR>
【目的】本研究は、耳鼻科で用いられるBoneDust Collectorを応用し、効率的かつ安全にCUSA検体を回収する方法を確立するとともに、同一部位から従来の方法で採取した組織検体と比較し、術中iFCおよび凍結標本を用いたMLPA解析の有用性と精度を検証することを目的とする。<BR>
【方法】抄録作成時点で17例の脳腫瘍患者を対象とし、術中にBoneDust Collectorを用いてCUSA吸引物を効率的に回収した。同部位から従来の方法で採取した組織検体と合わせ、CUSA検体でiFCを実施し、細胞数、DNA含有量を評価した。さらに凍結保存後のCUSA検体および従来検体から抽出したDNAを用い、MLPA解析によって腫瘍関連遺伝子の増幅状態を比較検討した。<BR>
【結果】BoneDust Collectorを用いたCUSA検体の回収は安全かつ安定的に行え、検体量の確保に成功した。術中iFCにおいて、CUSA検体の細胞数とDNA含有量は従来検体と有意差なく、腫瘍細胞割合も高い相関を示した。MLPA解析でも、CUSA由来DNAは良好な品質を示し、従来検体と遺伝子増幅パターンおよび腫瘍含有率が一致した。これらの結果は、CUSA検体が術中迅速診断および分子診断において実用的であることを示す。<BR>
【結論】耳鼻科用BoneDust Collectorの応用により、CUSA吸引物を効率的に回収でき、豊富かつ高品質な腫瘍細胞を含む検体を得ることが可能となった。術中迅速診断方法であるiFCや、分子診断を行う上で非常に有用なMLPAで、CUSA検体を用いて従来と同様の結果が得られた。今後は大規模症例を対象に検体回収・解析の標準化を進め、臨床応用の確立を目指したい。