タムラ マナブ   TAMURA Manabu
  田村 学
   所属   医学研究科 医学研究科 (医学部医学科をご参照ください)
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 脳腫瘍に対する免疫療法
~Cellm-001による初発膠芽腫治療効果無作為比較対照試験 の経過報告を中心に~
会議名 日本脳神経外科学会第84回学術総会 プログラム(Web抄録)
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎石川栄一, 村垣 善浩, 田村学, 大野 忠夫, Cellm 研究グループ
発表年月日 2025/10/30
開催地
(都市, 国名)
横浜市
開催期間 2025/10/29~2025/11/01
学会抄録 日本脳神経外科学会第84回学術総会 プログラム(Web抄録)
概要 【背景】初発膠芽腫に対する免疫療法開発に期待がかかっており、世界中で様々な臨床試験が行われている。本発表では、本邦で行われている自家脳腫瘍免疫賦活剤Cellm-001を用いた免疫療法に関する初発膠芽腫治療効果無作為比較対照試験の経過報告を中心に我々の研究経緯を示す。
【方法】本治験は、造影領域の摘出率が100%あるいはそれに近い(10mm未満の残存造影領域2か所までを許容)KPS60以上の初発膠芽腫などを適格基準として、実薬偽薬比を1:1とする無作為比較対照試験として2020年10月にjRCTで公開され、2021年1月に1例目の登録を行い、2025年3月末に登録を終了とした。現在まで117例の登録が行われたが1回以上の治験薬投与が行われた115例に関して解析を行った。なお、本解析はキーオープン前かつデータクリーンアップ前の解析であるため、最終的解析結果と若干の差異がある可能性を有する。
【結果】平均年齢は59歳であり、現時点で85例の中央病理診断が行われており4例が膠芽腫以外の病理診断であった。2024年1月に行われた安全性評価委員会において、試験中断レベルの有害事象が報告されていない点も含め試験の継続が許容された。術後画像評価において115例中9例が術後造影病変ありであった。キーオープン前のため治験薬の有効性については未確定であるが、2025年4月30日時点での115例全体の無増悪期間中央値は11か月程度、生存期間中央値は28か月程度であり、3年無増悪・生存率はそれぞれ19%、43%であり、長期生存率が高いことを示すいわゆるTail plateauを有していた。サブ解析では、術後造影病変あり群がなし群と比較して有意に無増悪期間および生存期間が不良であった。
【考察・結論】過去の文献において造影領域の可及的摘出後の膠芽腫における標準治療後の一般的な生存期間中央値、3年生存期間と比較し本試験における2025年4月30日時点でのこれらの数値は比較的良い結果であり今後のキーオープン後の成績に期待したい。本試験はAMED課題番号JP20lm0203124、JP22nk0101228の支援を受けた。