ムラガキ ヨシヒロ   MURAGAKI Yoshihiro
  村垣 善浩
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   客員教授
言語種別 日本語
発表タイトル 覚醒下脳機能マッピング検査データ解析による術中AI診断支援と発話メカニズムの解明
会議名 日本脳神経外科学会第84回学術総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎田村学, 呂聞東, 郡山峻一, 小林達弥, 丸山隆志, 川俣貴一, MAOUDJIlias, DARDENNEGuillaume, 正宗賢, 村垣善浩
発表年月日 2025/10/30
開催地
(都市, 国名)
横浜市
開催期間 2025/10/29~2025/11/01
学会抄録 日本脳神経外科学会第84回学術総会 プログラム(Web抄録)
概要 【目的】当院の神経膠腫摘出術は2300例を超え、言語及び運動機能の合併症予防目的で570例以上に覚醒下手術を実施してきた。術中MRI・updated navigationを統合した精密誘導手術システムを基礎として、患者の覚醒度の把握、適切な言語検査の実施および的確な脳表電気刺激を統合表示し記録するシステム(IEMAS)を開発し、2004年から535例に運用した。その記録データを用い、脳機能マッピング反応点をデジタル情報として標準脳上に変換する機械学習手法を提案した(JAMIT, 2020)。加えて、IEMAS音声記録データのみから術中言語マッピング診断支援が可能かAI解析に基づく検討を行ったので報告する。
【対象と方法】1999年から2024年までに実施された覚醒化手術567例(平均41.0歳, 左438, 男365, 初発391, 前頭葉局在421が主な内訳)のうち、IEMAS音声記録から後方視的に23例(旧SCOT室13, 新HSCOT室10)を抽出した。脳神経外科専門医が検査時患者音声反応(3秒)について、正常と非正常(言語停止、言語遅延等)にアノテーションした。全サンプル1800のうち、非正常(Positive)として得られた288(16%)について、真陽性(TP)・偽陽性(FP)・偽陰性(FN)を基に分類したmodelのパフォーマンス指標としてRecall・Precision・F1-scoreを深層学習により算出した。
【結果】Recall/Precision/F1-scoreはtraining dataについてSCOT(89.3/80.6/84.7)とHSCOT(85.6/74.4/79.6)で手術室間差を示し、全てを含むRandom(90.9/9.3/90.1)でより非正常を検出することを示唆した。他言語(フランス語)をtest dataとした解析のperformanceは87.4/65.2/74.7で、言語間における発話障害のメカニズム考察に示唆を与える結果となった。
【考察と結論】深層学習に最適なサンプル数評価を加え、精度高く患者音声応答から抽出し言語マッピング支援に寄与できるか検討し、術中AI診断支援および患者手術安全評価、さらには発話メカニズム解明への一助としたい。