オマタ タク   OMATA Taku
  小俣 卓
   所属   医学部 医学科(附属八千代医療センター)
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 脊髄性筋萎縮症(SMA)早期診断の重要性とオナセムノゲン アベパルボベク使用経験
会議名 第63回日本小児神経学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(その他)
発表者・共同発表者◎小俣卓
発表年月日 2021/05/29
開催地
(都市, 国名)
WEB
開催期間 2021/05/27~2021/05/29
概要 脊髄性筋萎縮症(SMA)はSMN1遺伝子の機能喪失変異による,進行性の筋委縮と筋力低下を特徴とする運動ニューロン疾患で,運動ニューロン消失前にSMNタンパクを補充することを目的とした治療介入により高い治療効果が見込まれる.したがってSMAに特徴的な症状から早期に診断することが大切であり,さらには新生児スクリーニングの実施が早期発見を行う上で重要となってくる.本講演では,実臨床に基づく千葉県こども病院での診断と治療経験を述べ,全国に先駆け千葉県で開始された新生児マススクリーニングの試験研究についても触れる.現在千葉県こども病院ではSMA9例を治療中である.内訳は1型が7例,3型が2例で,1型のうち3例がオナセムノゲン アベパルボベクで治療を行なった.3症例ともに治療による運動機能の改善・維持を認めている.マニュアルや適正使用指針をもとに,カルタヘナ法に従った感染対策を行い,計画通りに投与可能であった.副作用として発熱や肝機能障害や血小板低下が報告されている.我々の経験した3症例とも投与2-3日後に発熱を認めたが,いずれも一過性であり1-2で解熱している.肝機能障害も3例とも認め,1例は一旦軽快退院した後に再度肝逸脱酵素が上昇する2峰性の経過であった.1例は肝逸脱酵素上昇が一過性で2峰性とはならず,残りの1例は現在経過観察中である.十分には解明されていないが,1峰目は補体を介した自然免疫による反応,2峰目は細胞障害性T細胞など獲得免疫による反応と考えられており,乳児早期症例で2峰目がなかった可能性がある.海外では既に新生児スクリーニングの有用性が報告されているが,日本では昨年5月からちば県民予防財団,かずさDNA研究所,千葉県こども病院を中心に,千葉県内で出生した新生児スクリーニングの試験研究を開始している.県内の病院・産院にパンフレットを配り,希望者で検査を行い県民予防財団が結果を管理し,陽性者が見つかった場合,千葉県こども病院遺伝診療センターで結果のご説明を行い,診断確定後は神経科で治療を行う予定としている.