カワマタ タカカズ   KAWAMATA Takakazu
  川俣 貴一
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
言語種別 日本語
発表タイトル 刺入型刺激プローブと術中 MRI ナビゲーションを併用した覚醒下手術における錐体路深部 同定の工夫
会議名 第23回日本Awake Surgery学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎小林達弥, 丸山隆志, 郡山峻一, 呂聞東, 田村学, 村垣善浩, 川俣貴一
発表年月日 2025/07/12
開催地
(都市, 国名)
福島市
開催期間 2025/07/12~2025/07/12
学会抄録 第23回日本Awake Surgery学会 プログラム・抄録集 43
概要 シンポジウム2 手術戦略 15:50 ~ 16:44 S2-06
座長:隈部 俊宏(北里大学医学部脳神経外科) 成田 善孝(国立がん研究センター脳脊髄腫瘍科)

覚醒下手術において運動機能温存と腫瘍の最大限摘出の両立を図るには、錐体路の術中同定が極めて重要 である。特に、腫瘍による圧排や変位によって本来の位置から逸脱した錐体路の走行を術中に的確に把握し、 損傷を避けることが手術成功の伴となる。近年、電気生理学的白質マッピングの進歩により、摘出可能な 範囲は広がってきたが、従来の表面刺激プローブのみでは深部白質路の三次元的な構造の把握をするには 限界があり、過大あるいは過小な切除につながるリスクがあった。
この課題に対し当科では近年、運動野または錐体路近傍に腫瘍を有する患者に対し、覚醒下脳腫瘍摘出術 において表面刺激プローブに加え刺入型刺激プローブを併用する手法を導入し、さらに術中 MRI ナビゲー ションを組み合わせることで、腫瘍摘出操作の正確性と安全性を共に高めることが可能となった。この方 法では通常の白質表面刺激に加えて、摘出予定方向に向かって電極を 1mm ずつ段階的に刺入し、持続的 に低電流刺激を加えることで、切除境界面の安全性の担保と錐体路の位置同定を同時に施行し、同定され た錐体路の立体走行把握を可能とする。
本手法は、DTI(拡散テンソル画像)による描出が困難な高度浮腫を伴う症例や解剖学的バリエーション のある症例においても有効であり、術中に明瞭な機能的境界を提示することができる。これにより、白質 路温存の信頼性が向上し、従来であれば切除を躊躇するような錐体路近傍の深在部に対しても、functional tunnel(機能的通路)を確認しつつ、切除面形成を安全に行うことが可能となる。本報告では、実際に本 手法を適用した 6 症例について、具体的な刺激条件、使用時の注意点、ならびに術中の工夫(tips)を交え て使用経験に基づいて報告する。