ナカジマ メグミ   Nakajima Megumi
  中島 恵
   所属   医学部 医学科(附属足立医療センター)
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 三叉神経痛を契機として髄膜腫が発見された1症例
会議名 第31回日本有病者歯科医療学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎中島 恵,矢野 尚,宇田川源,藤本依里,近藤 周,阿部田昇平,山口 潤,金子裕之,葭葉清香
発表年月日 2022/04/30
開催地
(都市, 国名)
沖縄
開催期間 2022/04/30~2022/05/01
学会抄録 第31回日本有病者歯科医療学会学術大会 プログラム 抄録集 36
概要 【緒言】三叉神経痛は口腔顔面領域の神経障害性疼痛の一つに分類され, 片側の三叉神経支配領域に限局した発作的な痛みを特徴とする.原因の多くは血管性圧迫であるが,脳腫瘍が原因となることもある.今回,われわれは三叉神経痛を契機として錐体斜台部髄膜腫が発見された1例を経験したので報告する.
【症例の概要】患者:65歳,女性.既往歴:左眼網膜剥離.現病歴:約5年前から右頬部の異常痛覚や誘発痛を自覚するも放置していた.近歯科医院を受診した際に精査を勧められ紹介初診となった.現症:口腔外所見では, 顔貌に左右差は認めず,右頬部の三叉神経第2,3枝支配領域に持続性の異常痛覚を認めたが,圧痛や強い自発痛は認めなかった.また,洗顔時,歯磨き時に右頬部に突発性の電撃様痛の自覚があった.口腔内所見では,特記すべき異常は認めなかったが,右側舌,右側口蓋部に持続的な異常痛覚や知覚異常を自覚していた.処置及び経過:三叉神経痛及び頭蓋内の精査目的で頭部MRIを施行し,頭蓋内に15㎜大の腫瘍性病変を認めた.当院脳神経外科へ対診したところ錐体斜体部髄膜腫による三叉神経痛と診断され,同科にて開頭腫瘍摘出術が実施された.術後,三叉神経痛は改善し,一時的に右顔面神経麻痺による開口障害が生じたが経時的に改善した.また,右顔面,舌に知覚麻痺が残存したが,メコバラミン,プレガバリン,薏苡仁湯の内服投与にて改善を認めた.
【考察】口腔顔面痛患者に脳腫瘍が発見されることは比較的まれとされ,三叉神経痛患者の脳腫瘍合併率は5-10%とする報告もある. 頭蓋内疾患に由来する三叉神経痛を見逃すと生命予後に影響を及ぼす可能性があるが症候性三叉神経痛と定型的三叉神経痛を臨床所見のみで鑑別することは容易ではない.従って,三叉神経痛を疑う症例の診察にあたっては脳腫瘍の可能性も念頭において頭部MRI検査や,脳神経外科等の関連診療科への対診も考慮する必要があると思われた.