ロ ブントウ   Ro Buntou
  呂 聞東
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   嘱託医師
言語種別 日本語
発表タイトル IDH野生型星細胞腫における病理診断の変遷と問題点
会議名 日本脳神経外科学会 第82回学術総会
主催者 一般社団法人 日本脳神経外科学会
学会区分 国際学会及び海外の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎郡山峻一, 村垣善浩, 新田雅之, 齋藤太一, 都築俊介, 呂聞東, 小森隆司, 増井憲太, 川俣貴一
発表年月日 2023/10/25
開催地
(都市, 国名)
横浜市
開催期間 2023/10/25~2023/10/27
学会抄録 Web abstracts 466
概要 【背景】WHO2021分類において、IDH野生型星細胞腫は、微小血管増殖や壊死などの組織学的な特徴がなくても、pTERT変異、EGFR遺伝子増幅、+7/-10 染色体数異常があれば、遺伝学的膠芽腫(mGBM)と診断されることとなった。また、G2/3のグレードがなくなり、臨床的に問題となっている。今回、当施設で遺伝子分類を行ったIDH野生型星細胞腫の治療成績をhistorical dataと比較することで、新分類の妥当性と問題点を考察した。
【方法】2016年11月から2021年4月の期間でWHO2021分類に基づく分子診断を行ない、2000年から2016年の期間のhistorical dataと比較した。
【結果】IDH野生型星細胞腫と診断された症例は131症例(G2 4例、G3 19例、GBM 104例)であった。G2、G3と診断された症例のうち、pTERT変異等の分子マーカーでmGBMと診断された症例は11症例(G2 2例、G3 9例)であった。OS中央値はG2で未達、G3が3.8年、GBMが2.1年とグレードと予後が相関していた(p=0.05)。mGBMのPFS中央値はmGBMが1.1年、GBMが1.4年とGBMと同程度に再発が多い傾向にあったが、OS中央値では4.4年で組織学的にGBMと診断された症例よりも、予後は良い傾向にあった。一方でhistorical dataにおいて、IDH野生型星細胞腫はG2が7.7年G3が3.9年、G4が2.4年とグレードと予後が強く相関(p=0.001)であった。
【考察】mGBMはGBM腫瘍と比較して、PFSは有意差ないものの、OSは長い傾向にあった。これらを同じentitiyとして扱っていいのか、組織学的グレード診断を分子マーカーが凌駕することの妥当性に疑問の余地があり、従来の組織学的分類を基にしたグレード診断は依然重要であると考える