カワマタ タカカズ
Kawamata Takakazu
川俣 貴一 所属 医学部 医学科(東京女子医科大学病院) 職種 教授・基幹分野長 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 膠芽腫の治療成績は向上したか?
膠芽腫治療の変遷と493例の治療成績と今後の展望 |
会議名 | 日本脳神経外科学会 第82回学術総会 |
主催者 | 一般社団法人 日本脳神経外科学会 |
学会区分 | 国際学会及び海外の学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎新田雅之, 村垣善浩, 齋藤太一, 都築俊介, 郡山峻一, 桑野淳, 川俣貴一 |
発表年月日 | 2023/10/27 |
開催地 (都市, 国名) |
横浜市 |
開催期間 | 2023/10/25~2023/10/27 |
学会抄録 | Web abstracts 774 |
概要 | 緒言:膠芽腫は5年生存率10%未満の極めて予後不良な腫瘍であるが、腫瘍の最大限摘出のエビデンスが確立し、テモゾロミド(2006年)、アバスチン(2011年)、ギリアデル(2013年)、光線力学的療法(PDT、2014年)、TTF療法(2018年)など新規治療が保険収載され、また免疫療法も実臨床で使用されるようになり、治療成績は徐々に改善してきている。今回、当施設にて手術、治療を行った初発膠芽腫症例の治療法の変遷、長期治療成績および摘出率との相関、年代別、治療法別の治療成績を解析した。
方法:2001年〜2021年3月までの20年間に当施設で治療を行った成人テント上初発膠芽腫症例の臨床的特徴、摘出率および治療成績を後方視解析した。 結果:症例数は493例、年齢中央値58才(18〜85才)、男性293例、女性200例。摘出術症例の95%以上が術中MRI使用で、造影病変摘出率中央値と平均摘出率はそれぞれ98%、96.6%であった。全症例(生検含む)のPFS、OS中央値はそれぞれ9.4ヶ月、22.7ヶ月であった。症例のTMZ以前の2001-2006年、2007-2010年、2011-2015年、2016-2021年に分けて解析したところ、各年代別のOS中央値は12.9ヶ月、22.9ヶ月、23ヶ月、31.1ヶ月(p<0.0001)と年代と共に治療成績が改善した。特にPDTと自家腫瘍ワクチン(AFTV)を併用した23症例のOS中央値63.1ヶ月と極めて良好な成績で、現在多施設共同医師主導治験にてAFTVの有効性を検証している。 結語:膠芽腫の治療成績は年代とともに改善、術中MRIを用いた高い摘出率と集学的治療の組み合わせにより、5年生存率50%を目指せる時代が来た。特に、術中MRIを用いた造影病変の全摘出とPDTの併用に加え、ワクチン療法等の免疫療法を行うことが長期生存への鍵となると考える。今後の更なる治療成績改善の展望を考察する。 |