キクチ ケン   Kikuchi Ken
  菊池 賢
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授
言語種別 日本語
発表タイトル PVL産生MRSA 市中感染型MRSAの変遷
会議名 第86回日本皮膚科学会東京支部学術大会
主催者 田中勝
学会区分 全国規模の学会
招聘 招聘
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(指名)
発表者・共同発表者◎菊池 賢
発表年月日 2022/11/20
開催地
(都市, 国名)
東京
開催期間 2022/11/19~2022/11/20
学会抄録 日本皮膚科学会雑誌 133(4),700 2023
概要 日本では1980年初頭からMRSAが広がり、病院感染などで、大きな社会問題になった。MRSAの分離割合は、JANIS統計で黄色ブドウ球菌の60%を越える状態から、40%台には低下したものの、AMRアクションプランでも目標とした2020年で20%以下にするという数値には遠く及ばない現況にある。一方、分離されるMRSAのタイプはこの40年の間に大きく様変わりした。当初は市中感染からMRSAが分離される頻度は低く、多くが入院患者で病院感染の形を取っていたことから、「病院感染型MRSA」と称されていた。遺伝的にはNew York/Japan cloneと呼ばれ、MLST ST5, SCCmec type IIがほとんどを占め、SEC, TSST-1産生し、βラクタム以外の多くの薬剤に耐性を示す株であった。
一方、近年は市中感染、特に膿痂疹などの皮膚軟部組織感染からのMRSA分離が急増している。これらはSCCmec type IVを持ち、「市中感染型MRSA」と呼ばれるようになった。当初はETA, ETBなどを産生する日本独自のcloneが多かったのだが、我々が2018年から2019年に関東地域の13病院で分離された164株のMRSAで行った調査では、MLST ST1−spa t1784, SEA, SHE産生clone とMLST ST8-spa t008 PVL産生 cloneの2種のMRSAがほとんどを占めていた (J Glob Antimicrob Res 28: 195, 2022)。PVL産生MRSAの急増は、市中での膿痂疹や蜂窩織炎などの皮膚感染の初期治療に、MRSAを想定した抗菌薬治療を考慮する必要性があり、今後の外来診療にも大きな影響を及ぼすと考えられる。