カワマタ タカカズ   Kawamata Takakazu
  川俣 貴一
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
言語種別 日本語
発表タイトル 小児悪性脳腫瘍に対する光線力学療法 (Photodynamic Therapy: PDT)
会議名 第39回日本脳腫瘍学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎千葉謙太郎, 藍原康雄, 村垣善浩, 川俣貴一
発表年月日 2021/12/06
開催地
(都市, 国名)
神戸
開催期間 2021/12/05~2021/12/07
学会抄録 第39回日本脳腫瘍学会学術集会 プログラム・講演抄録集 192
概要 21:00~21:30 ポスター 21 治療 1:治療オプション
座長 金森 政之
小児悪性脳腫瘍の予後は不良である。その原因の一つとして、摘出後に摘出腔周囲に残存する腫瘍細胞からの高い局所再発 (50-85%)が挙げられる。一方で、過度な摘出は術後の神経脱落症状を来し患児の QOL を著しく低下させる。PDT は再発率の低減と最大限の機能温存を可能とする新規の治療の選択肢として期待される。しかし、これまでに小児に対するTalaporfin sodium を用いた PDT の報告はない。当施設では成人の脳腫瘍に対する PDT の多くの治療実績を踏襲し、有効性および安全性に関する知見も十分に有することから倫理委員会(平成 29 年 9 月)審査承認を得て、小児(6 歳以上 20歳未満)悪性脳腫瘍(初発、再発)に対する PDT が開始された。小児に対する Talaporfin sodium の使用経験を有しないため、3 症例毎の dose escalation (10 mg/sq, 20 mg/sq, 40mg/sq)を行った。臨床研究の期間中は研究計画に則り全例で 2週間の遮光期間を設けた。現時点では大きな有害事象は認められていない。研究を通していくつかの小児に特有の問題点が抽出された。1. 成人と異なり小児では脳腫瘍の他に変性疾患や炎症性疾患あるいは血管障害など幅広く鑑別を行う必要があり、術前の画像診断のみでは確証が得られないことが多く、初発症例での適応は限定的である(当院の症例のいずれも再発症例である)。2. 研究計画の中にも遮光管理に伴う精神的なケアを盛り込んでいたが、予想よりも遮光管理が患児の精神面に与える影響が大きい。電子デバイスに依存している現在の小児にとって短期間でも使用を禁止されることは負担が大きい。現在、小児症例に対しても Talaporfin sodium の安全性は示されつつあるが、成人と同等の 40 mg/sq を投与した症例が増えることで、今後小児に対する PDT の治療効果の知見が得られるものと期待される。