カワマタ タカカズ   Kawamata Takakazu
  川俣 貴一
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
言語種別 日本語
発表タイトル 単施設一貫プロトコールによる Lower Grade Glioma 636 例の長期治療成績
会議名 第39回日本脳腫瘍学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎新田雅之, 村垣善浩, 齋藤太一, 小森隆司, 増井憲太, 生田聡子, 都築俊介, 福井敦, 郡山峻一, 桑野淳, 川俣貴一
発表年月日 2021/12/05
開催地
(都市, 国名)
神戸
開催期間 2021/12/05~2021/12/07
学会抄録 第39回日本脳腫瘍学会学術集会 プログラム・講演抄録集 146
概要 22:00~22:30 ポスター 8 成人臨床 2:低悪性度グリオーマの臨床像
座長 別府 高明 P1-44
【緒言】分子マーカーで 3 つの遺伝子型に分類された神経膠腫は、遺伝子型間、グレード間での予後の違いが議論されている。各遺伝子型における摘出率と予後の相関も明確ではない。今回、当施設において手術及び治療を行った初発 Lower Grade Glioma (LrGG)の遺伝子型別予後、摘出率と予後の相関を後方視検討した。
【方法】2000年1月から2016 年 12 月の期間に当施設で手術を行った初発 LrGG は 636 例。治療方針は G2 低リスク群(高摘出率等)は初期経過観察、G2 高リスク群と G3 は放射線化学療法施行。
【結果】G2、G3 が各 325 例、311 例で内 WHO2016 分類症例が G2 269 例、G3 255 例であった。平均フォローアップ期間は G2 が 8.5 年、G3 が 5.0 年。全症例の解析では G2、G3 共に mOS は未達、G2 における遺伝子型別 mOS は、OD、DA, IDHmt が未達、DA, IDHwt が 92.5 ヶ月、G3 では、AO、AA IDH mt が未達、AA, IDH WT が 46.4 ヶ月であった。全症例では G3 が G2 より有意に予後不良(p<0.0001)であったが、遺伝子別では DA/AA IDH mt ではグレード間の予後に有意差はなかったが, OD/AA では長期で差が開く傾向(p=0.069)、DA/AA IDHwt では G3 が予後不良(p=0.028)であった。摘出率と予後の相関は、G2 全体(p<0.0001)、G3 全体(p<0.0001)ではそれぞれ、90%以上の摘出が有意差を持って予後延長、遺伝子型別では、OD (p=0.19)は有意差なかったが、その他は全て有意差を認めた。AO (p=0.045)、DA IDH mt (p=0.030)、 AA IDH mt (p=0.0049)、DA IDH WT (p=0.0006)、AA IDH WT (p=0.0001)、で特に IDH WT 腫瘍では摘出率と予後の差は著明であった。
【結語】長期予後解析の結果、病理グレードは、LrGG 全体と DA/AA IDHwt では予後因子、OD/AD では長期で異なる傾向、DA/AA IDHmt では予後因子でなかった。高摘出率は OD 以外の予後良好因子であり、摘出戦略に反映すべきである。 LrGG 遺伝子分類時代の補助療法に関する新臨床試験を行うべきである。