タムラ マナブ   Tamura Manabu
  田村 学
   所属   研究施設 研究施設
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル Oligodendroglioma の早期死亡例と 1p19q 欠損レベルの相関
会議名 第39回日本脳腫瘍学会学術集会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎生田聡子, 丸山隆志, 新田雅之, 齋藤太一, 都築俊介, 福井敦, 郡山峻一, 田村学, 増井憲太, 小森隆司, 川俣貴一, 村垣善浩
発表年月日 2021/12/05
開催地
(都市, 国名)
神戸
開催期間 2021/12/05~2021/12/07
学会抄録 第39回日本脳腫瘍学会学術集会 プログラム・講演抄録集 145
概要 22:00~22:30 ポスター 8 成人臨床 2:低悪性度グリオーマの臨床像
座長 別府 高明 P1-41
神経膠腫のなかでも乏突起膠腫(OD)は長期予後が望める腫瘍であるが、時に早期死亡例に遭遇することがある。これまでに WHO グレード、摘出率、NOTCH1 変異等が OD の予後に関連する可能性が報告されたが、その検証にはさらに長期での観察が必要である。本研究では早期(10 年以内と定義)の死亡という観点で、特に OD を特徴づける 1p19q-dodeletionの度合いに重点を置きリスク因子を検討した。
【方法】対象:2005~2015 年当院で腫瘍摘出した WHO グレード 2・3 初発成人神経膠腫のうち 1p19q-dodeletion であった 197 例。生存群と早期死亡群間で 1p36/1p25、19q13/19q13 のシグナル比、WHO グレード(G)、摘出率、astrocytoma成分併存の有無が早期死亡に関連するか検討した。シグナル比の比較は t-test, その他の因子は Cox 比例ハザードモデルを用いて比較した。
【結果】平均 42 歳、G2/3 比 63 対 37、追跡期間中央値 7.6 年。1p、19q シグナル比中央値は各々0.55、0.57。60 例(31%)は WHO 2007 分類で oligoastrocytoma(OA)と診断され、また 1p19q-codeletion を示したものの 4 例(2%)は diffuse astrosytoma を主体とした腫瘍の診断であった。65 例(33%)が 5 年以内に再発、9 例(4.3%)10 年以内に死亡した。早期死亡例では 1p36/1p25 シグナル比が生存群に比較して有意に高い一方で(p<0.0001)、19q13 のシグナル比には差がなく、また 5 年以内の早期再発にも 1p, 19q シグナル比の差はなかった。早期死亡とグレード、摘出率には関連が見られなかったものの、死亡例は全例で astrocyte 成分を有していた。
【結語】Oligodendroglioma 患者の 10 年以内死亡には、1p36 欠損比率の低さ、diffuse astrocytoma 成分の併存が関連した。 WHO 2016 分類以降、病理診断は分子遺伝学的分類の表記で統一されるようになったものの、初発時治療後の再治療介入には、1p 欠損の比率や形態学的評価を併せて判断することが必要である。