マツオカ ゴウ   Matsuoka Gou
  松岡 剛
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 難治性の退形成性髄膜腫とどう闘うか?
会議名 第26回日本脳腫瘍の外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎江口盛一郎, 松岡剛, 松岡綾子, 林基弘, 川俣貴一
発表年月日 2021/09/10
開催地
(都市, 国名)
東京都文京区
開催期間 2021/09/09~2021/09/10
概要 【目的】退形成性髄膜腫は全髄膜腫のわずか1-2%を占めるに過ぎないが, 5年生存率は35-40%程度と予後不良の疾患である。症例数の少なさから膠芽腫のような標準的治療はなく, 髄膜腫の中で残された課題と言える。今回我々は単一施設における退形成性髄膜腫を後方視的に検証し, 生存期間の延長に寄与しうる因子を検討した。
【方法】2003年1月から2021年5月の期間に当院で治療を行った頭蓋内退形成性髄膜腫27症例を対象とし, 手術時年齢, 性別, 腫瘍発生部位(非頭蓋底: 円蓋部/傍矢状洞部/大脳鎌/テント/脳室内or頭蓋底: 左記以外), 摘出率(Simpson grade), 補助治療(SRS/SRT/RT)の有無と種類, Ki-67 LIなどが全生存期間に与える影響を検討した。
【結果】観察期間中央値は48 (IQR 86)ヶ月, 平均年齢60.2±12.8歳, 女性14例, 22例が非頭蓋底発生であった。27例に対して40回の摘出術が行われ(うち21回はGTR), 5例で手術単独, 残り22例はSRS/SRT/RTのいずれかを1回以上追加で行っていた。12例がDe novo, 13例がSecondary (WHO grade 1/2からの悪性転化)であり, 頭蓋底発生では有意にDe novo症例が多かった(p=0.039)。Ki-67 LIの中央値は15.6 (IQR 20.2)%, 5y-OS: 76.4%, 摘出術後の5y-RFS: 12.5%であった。Cox回帰解析では, 年齢とDe novo病変かで調整するとKi-67 LI がOSの改善に寄与する因子であった(p=0.024)。10年以上の長期生存群では10年未満群と比較して手術時年齢が有意に低く(p=0.026), Ki67 LIも有意差はないものの低い傾向にあった(p=0.054)。
【考察/結論】退形成性髄間腫の大部分は非頭蓋底に発生し全摘出できるものの, 切除断端, 辺縁から容易に再発しRFSは短い。本研究結果からはSalvage surgeryやSRS/SRT/RTの追加である程度の局所制御は行えていた。Ki-67 LIが高い場合には積極的な補助治療が勧められる。