カワマタ タカカズ   Kawamata Takakazu
  川俣 貴一
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
言語種別 日本語
発表タイトル 発生起源に基づく髄膜腫の病理組織学的検討
会議名 第33回日本頭蓋底外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎江口盛一郎, 松岡剛, 川俣貴一
発表年月日 2021/07/01
開催地
(都市, 国名)
東京都千代田区
開催期間 2021/07/01~2021/07/02
概要 【目的】髄膜腫において, 頭蓋底病変は非頭蓋底よりWHO grade 2,3の腫瘍が少ないことが知られている。また, 昨今, 腫瘍の発生部位により遺伝子変異が異なることも示唆されている。しかし, 腫瘍の発生起源と病理組織所見の関係を比較した報告は少なく, 本研究では発生起源により病理組織所見に違いが見られるか検討を行った。
【方法】2013年1月から2020年12月の期間に当院で摘出術を施行した手術症例497例のうち, NF2, 再発, 脊髄, 脳室内など付着部硬膜を伴わない症例を除いた404例を対象とした。これらを腫瘍の発生部位(頭蓋底: SB, 非頭蓋底: nSB)と発生起源(Paraaxial mesoderm: P, Neural crest cell: N)に分けて病理組織所見やKi-67 indexを比較, 検討した。なお, テント髄膜腫はSBに分類されることが多いが, 本研究ではテントは頭蓋底硬膜ではないためnSBに分類した。
【結果】SB群190例, SB群214例, P群69例, N群325例であった。SBとnSBの比較では, 既報の通りnSBの方が有意にWHO grade 2, 3が多く(p=0.0018), Ki-67の値も高かった(p=0.018)。PとNの比較ではNの方がWHO grade 2, 3が有意に多く(p=0.0485), Ki-67も高かった(p=0.0025)。特徴的な染色体異常, 遺伝子異常が報告されているAngiomatousとMicrocystic meningiomaの割合はSB/nSBの比較でもP/Nの比較でも有意差はなかった(p=0.257, p=0.223)
【考察・結論】nSBに属する硬膜は一部を除いてNeural crest cellに由来すると考えられ, N群においてP群より悪性度が高い腫瘍が多いのはこのためと考えられる。本来, 骨・軟骨, 硬膜は主にParaxial mesodermから発生するが, Neural crest cellに由来する硬膜に付着部をもつ髄膜腫に悪性度が高い傾向にあること興味深く, 今後, 遺伝子情報も加味してさらに検討したい。