タムラ マナブ   Tamura Manabu
  田村 学
   所属   研究施設 研究施設
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 脳実質内腫瘍における術後麻痺予測におけるナビゲーションの錐体路関連ボクセルと運動誘発電位のリアルタイム統合解析の有用性
会議名 日本脳神経外科学会 第79回学術総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎福井敦, 高橋孝彰, 岡本淳, 田村学, 新田雅之, 齋藤太一, 都築俊介, 村垣善浩, 川俣貴一
発表年月日 2020/10/15
開催地
(都市, 国名)
岡山現地開催+Web 併催
学会抄録 日本脳神経外科学会 第79回学術総会 プログラム&抄録集
概要 一般口演・ポスター / 一般口演1 手術におけるモニタリング(腫瘍・他) O-01-3
【背景】
脳実質内腫瘍の手術において、ナビゲーション画像の解剖学的情報と運動誘発電位(MEP)などの電気生理学情報は従来別々のデバイスとして扱われてきた。我々は2019年からOPeLiNKを用いた新しい手術室HyperSCOTで手術を開始した。OPeLiNKにより従来別々に扱われてきたデバイスのデータをリアルタイムに統合できる環境が整った。そこでまず、我々はナビゲーションとMEPの経時的データの情報統合により術後麻痺の予後予測が改善するか検討した。
【方法】
2019年8月から、研究に同意が得られた頭蓋内腫瘍11例を解析対象として、術中ナビゲーションデータと経時的な経皮質・経頭蓋のMEPデータを収集した。また術後2週間後の麻痺のデータをMMTで集積した。ナビゲーション画像は標準脳の画像に変換し、錐体路に含まれるボクセルの体積を検討した。またその情報に経時的なMEPが50%低下した領域のボクセルの体積を抽出した。
【結果】
11例中2週間後にMMTが4以下であった症例は5例であった。従来の手術終了後のMEPの50%低下での陽性的中率4/6(偽陽性2例)、陰性的中率4/5(偽陰性1例)であった。正常では錐体路に含まれるボクセルの体積の中央値は麻痺あり群、なし群でそれぞれ226 mm3(IQR:0-639)、17.5 mm3(IQR:0-87)(p=0.078)であった。それにMEPの50%低下のボクセル体積は100 mm3(IQR:0-209)、0 mm3(IQR:0-3)(p=0.028)であった。
【考察】
カットオフ値をMEP50%低下のボクセル体積0 mm3とすると、従来のMEPでは偽陰性となった症例では麻痺の診断、偽陽性なった2例では1例を麻痺なしと診断することとなり診断能は向上した。
【結論】解剖学的ナビゲーションでの麻痺予測も正常の錐体路との関連を調べるとある程度麻痺の予測に有用であった。さらにMEPのデータを加えることによって、従来のMEPより術後の麻痺予測のよい指標となりうる可能性がある。