カワマタ タカカズ   Kawamata Takakazu
  川俣 貴一
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
言語種別 日本語
発表タイトル 自家腫瘍ワクチンによる初発膠芽腫に対する多施設共同盲検ランダム化第III相の医師主導治験
会議名 日本脳神経外科学会 第79回学術総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎新田雅之, 村垣善浩, 石川 栄一, 杉井成志, 橋本幸一, 五所正彦, 田村学, 小林 英津子, 生田聡子, 齋藤太一, 都築俊介, 福井敦, 川俣貴一, 大野忠夫
発表年月日 2020/10/16
開催地
(都市, 国名)
岡山現地開催+Web 併催
学会抄録 日本脳神経外科学会 第79回学術総会 プログラム&抄録集
概要 指定演題 /横断的シンポジウム 5 脳神経外科と臨床研究 ⅡCSS05-3
致死性の高い膠芽腫は極めて予後不良で、新たな治療法の開発が望まれるが、過去に予後を劇的に改善した治療法は存在しない。免疫療法は浸潤性の高い膠芽腫に理論的に期待されるが、自家腫瘍ワクチン(AFTV)は、ホルマリン固定した腫瘍組織を用いて、腫瘍抗原を認識させて免疫誘導する、個別化医療を実現する革新的なワクチンである。我々は初発膠芽腫患者を対象とした3臨床試験を行った。直近の二重盲検多施設共同第IIb相試験(63例)では、全体では有意差が出なかったが、事前設定したサブ解析において全摘出群で試験群3年生存率80%(プラセボ群53%, p=0.153)という極めて良好な成績を得た。本IIb試験は、試験群が歴史的対照群に劣らず、実現可能な設定症例数であれば、第III相試験に進むというデザインであり、条件に合致した。第III相デザインは、二重盲検(1:1)で11施設が参加予定。対象は、画像上全摘出できた初発膠芽腫(18-75才)で、予定症例数は112例、登録期間4年、観察期間2年とした。層別因子は年齢、KPS、AFTV併用で良好な治療成績(当施設後向き解析19例, OS中央値47.7ヶ月)を示した光線力学的療法(PDT)の有無、を加えた。投与方法は放射線化学療法前に3回、終了後に維持化学療法と並行して6回の皮内投与であり、IIb相で許容したプラセボ群の再発時AFTV投与(クロスオーバー)は不可とした。主要評価項目はOS、副次的評価項目はPFSである。
第III相は医師主導で薬事承認を目標とする治験であるが、最大の挑戦は患者毎で成分が異なる個別化ワクチンを、同一成分が品質評価項目である医薬品として薬事承認を目指すことである。PMDAでも前例のないカテゴリーの治療薬であり、9回に及ぶ戦略相談や事前面談を行った上で、2019年9月の対面助言で一定の合意を得たが、試験に”勝つ“とともに品質評価法の確立を求められている。2020年夏より東京女子医大と筑波大学を共同研究代表として治験を開始し、世界初の個別化膠芽腫治療法の確立を目指す。