ツヅキ シユンスケ   Tsudzuki Shiyunsuke
  都築 俊介
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 術中言語野、運動野の同定が困難となる因子についての検討-20年間のAwake surgeryの経験から得られた知見
会議名 日本脳神経外科学会 第79回学術総会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎齋藤太一, 村垣善浩, 丸山隆志, 新田雅之, 都築俊介, 福井敦, 生田聡子, 川俣貴一
発表年月日 2020/10/16
開催地
(都市, 国名)
岡山現地開催+Web 併催
学会抄録 日本脳神経外科学会 第79回学術総会 プログラム&抄録集
概要 指定演題 / サブスペシャルティ領域のシンポジウム 11<脳腫瘍>Awake surgery 現状と課題 SY11-3
近年、覚醒下手術は全国の脳神経外科施設に普及し神経膠腫に対する標準的手技として確立されつつある。ただしこれから覚醒下手術を導入する施設、経験数の少ない施設では、経験数の多い施設から得られた知見を共有することは有用と考えられる。
言語野、運動野内、その近傍の神経膠腫摘出術は術後機能障害のリスクが高く覚醒下手術により言語野、運動野を同定することが重要である。しかし時折言語野、運動野の同定が困難な症例が認められる。
言語野の同定に関しては、我々は覚醒下手術3 0 1 症例の解析により三角部( pars triangularis)を含む腫瘍では言語野の同定が困難であることを報告した(Saito et al, J Neurosurg.,2016)。最近では症例を追加し覚醒下手術470例中、優位側前頭葉神経膠腫135例を対象とし三角部を含み、さらに眼窩部も含む症例では言語野の同定が困難であることを報告した(Saito et al, Neurosurgical Rev., 2019)。また以前術中言語機能の補助的なモニタリングとして皮質-皮質間誘発電位(CCEP)併用の有用性についても報告している(Saito et al, J Neurosurg., 2014)。
運動野に関しては、中心前回に局在する神経膠腫30例の検討を行い覚醒下手術による術中自動運動の観察と経皮質MEPの併用は最大限の摘出を行うのに有用であることを報告した(Saito et al, J Neurosurg., 2019)。さらに最近では運動機能温存のために覚醒下手術を行った症例137例の解析により中心前回に限局する腫瘍では運動野の同定が困難であることを報告した(Saito et al, J Neurosurg., in press)。
我々の経験からは言語野の同定が困難な症例においては、術中継続的な言語機能の観察および慎重な皮質下電気刺激を併用した摘出術が必要であると考えている。一方で術中運動野が同定できない症例においては、術中自動運動の継続的な観察と経皮質MEPを併用した摘出術が有用であると考えている。以上、我々の20年間のAwake surgeryの経験から得られた知見について紹介し、今後の課題について考察を加える。