カワマタ タカカズ
Kawamata Takakazu
川俣 貴一 所属 医学部 医学科(東京女子医科大学病院) 職種 教授・基幹分野長 |
|
言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 頚静脈孔神経鞘腫に対する外科治療と長期成績 |
会議名 | 第25回日本脳腫瘍の外科学会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | 口頭 |
講演区分 | 一般 |
発表者・共同発表者 | ◎江口盛一郎, 松岡剛, 松岡綾子, 田村徳子, 山口浩司, 林基弘, 川俣貴一 |
発表年月日 | 2020/09/11 |
開催地 (都市, 国名) |
愛知県名古屋市 |
概要 | 【目的】頚静脈孔神経鞘腫(JFS)は前庭神経鞘腫や三叉神経鞘腫に比べて稀な腫瘍である。手
術により嚥下障害を合併する危険性が高く, 全摘出を目標とせず定位放射線治療(SRS)との複 合的な治療も考慮される。本研究では当院における頚静脈孔神経鞘腫の治療成績を後方視的に 検証し, 手術の役割とKPSを低下させる因子について検討した。 【方法】2007月から2019年までの期間に当院で治療を行ったJFS連続17例のうち術後観察期間1 年以上の14例を対象とした。初診時症状, 腫瘍径, 周術期合併症, 治療前/1年後KPS, 再発再 増大有無, 摘出率, KPS増悪の関与する因子を検討した。 【結果】女が8例で平均年齢49.9±16.0歳, 平均観察期間71.4±26.4ヶ月, 初発時症状は無症 候7, 顔面神経麻痺1, めまい2, 耳鳴1, 耳閉感1, 嗄声1, 挺舌変位1であった。舌咽神経鞘腫 7, 迷走神経鞘腫5, 副神経鞘腫2であり平均腫瘍径は28.9±10.3mm, 手術は全例Retrosigmoid approachで行い硬膜外伸展のある症例では硬膜内腫瘍のみ摘出した。術後3ヶ月後のMRIで造影 効果がないかわずかに造影されるものは8例(57.1%)あり, 1例で腫瘍再発, 3例で残存腫瘍再増 大を認めた。周術期には高率(64.3%)で嚥下障害が認められた反面, 術前からの顔面神経麻痺 や聴力障害は改善した。術後1年時点で術前よりKPSが増悪した症例が5例(35.7%)認められた が, 統計学的に有意なKPS増悪因子は検出できなかった。 【考察/結論】JFSは嚥下障害や嗄声症状で診断されることは少ない。摘出術を選択した際には 顔面神経麻痺や聴力の改善は期待できるが, 腫瘍径や摘出率に関係なく術後嚥下障害を呈する 危険性は高い。無症候性の症例の場合, 摘出術の必要性を十分な検討が必要である。 |