ニイナミ ヒロシ   Niinami Hiroshi
  新浪 博
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   教授・基幹分野長
言語種別 日本語
発表タイトル 大動脈弁モデルと拍動循環シミュレータを用いた大動脈二尖弁の弁機能評価
会議名 第72回日本胸部外科学会定期学術集会
主催者 日本胸部外科学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎服部薫, 高田淳平, 熊澤亮, 西村剛毅, 森脇涼, 新浪博士, 岩崎清隆
発表年月日 2019/11/02
開催地
(都市, 国名)
京都市
概要 *一般口演 44
新しい手術手技・イノベーション

【背景】大動脈二尖弁(BAV)は弁機能障害の合併が多く、進行速度に個人差を認める。若年で手術が必要な「急速進行型」弁機能障害の危険予測因子の一つとして、大小弁尖のサイズ比(= 交連配置角比)に伴う弁形態の違いが考えられる。

【目的】交連配置角比の異なる BAV モデルを作製し、弁形態の違いが弁機能に及ぼす影響を明らかにすること。

【方法】(1)大動脈弁の三次元的構造を再現するための大動脈弁モデル作製機器(弁尖トリミング用機器と弁尖縫合用ガイド)を開発した。目的とする交連配置角に対応した弁尖トリミング用機器を用いて、ウシ心膜で BAV モデルの弁尖を作製。対応する弁尖縫合用ガイドを用いて、弁尖をブタ大動脈に縫合した。以上の手順により、交連配置角 120-240°、140-220°、180-180° の 3 種の BAV モデル(弁輪径 24mm)を作製した。(2)BAV モデルと拍動循環シミュレータを用いて弁機能評価を行い、120-240°(n=6)、140-220°(n=6)、180-180°(n=6)の 3 群で比較。弁機能のパラメータは平均流量(L/min)、Forward flow(L/min)、Regurgitation(L/min)、弁閉鎖時の静的逆流量 Leakage(L/min)とし、実験条件は大動脈圧 120/80(100)mmHg、心拍数 70 回/分、収縮期比率 35 %とした。

【結果】 180-180° 群は他の 2 群に比べて Forward flow が少なく(180-180° vs 140-220°, 4.5±0.13 vs 4.7±0.21 L/min, P<0.05; 180-180° vs 120-240°, 4.5±0.13 vs 4.9±0.10 L/min, P<0.01)、他のモデルと比べて弁開放時の有効弁口面積が小さいことが示唆された。Leakage は 120-240° 群で多く(120-240°群 vs 140-220° 群, 0.47±0.32 vs 0.37±0.13 L/min, P<0.05; 120-240° 群 vs 180-180° 群, 0.47±0.32 vs 0.36±0.056 L/min, P<0.05)、弁尖接合長が他のモデルより短いものと考えられた。平均流量と Regurgitation に差はなかった。

【まとめ】新たに開発した大動脈弁モデル作製用機器を用いて、交連配置角比の異なる 3 種の BAV モデルを作製した。モデルを用いた拍動性能試験から、交連配置角比の違いにより平均流量は変わらないものの、開放特性や閉鎖特性は異なることが明らかとなった。180-180°の弁癒合形態は早期の弁狭窄に、交連配置角比の大きな弁形態(120-240°)は若年での弁逆流の進行に影響を及ぼす可能性がある。