ニシナカ トモヒロ
Nishinaka Tomohiro
西中 知博 所属 医学部 医学科(東京女子医科大学病院) 職種 客員教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発表タイトル | 大動脈基部拡大を伴うコンノ手術後の傍機械弁逆流に対するベントール・コンノ再手術の一例 |
会議名 | 第72回日本胸部外科学会定期学術集会 |
主催者 | 日本胸部外科学会 |
学会区分 | 全国規模の学会 |
発表形式 | 口頭 |
発表者・共同発表者 | ◎新川武史, 中山祐樹, 寶亀亮悟, 小林慶, 西中知博, 新浪博士 |
発表年月日 | 2019/10/31 |
開催地 (都市, 国名) |
京都市 |
概要 | *クリニカルビデオセッション6
先天性 【背景】コンノ手術は、狭小大動脈弁輪または大動脈弁下狭窄を有する小児に対して大動脈弁輪を拡大し適切なサイズの人工弁を植え込むために1975 年に発表された。しかしコンノ手術による十分な大きさの人工弁植込み後でも再手術は完全に回避できるものではなく、再手術時には再コンノ法による中隔形成が必要となる事もあると思われる。 【症例】症例は39 歳男性。大動脈弓離断症に対する大動脈弓再建術後、心室中隔欠損閉鎖術後の大動脈弁および弁下狭窄に対して、30 年前にコンノ手術(23mm SJM 機械弁)の既往があり、溶結性貧血および心不全症状の精査加療目的に当院紹介となった。心エコーでは中等度から高度の大動脈弁閉鎖不全を伴う傍機械弁逆流、機械弁周囲のパンヌス形成、中等度左室流出路狭窄、および中等度右室流出路狭窄を認めた。心カテーテル検査では高度に石灰化した大動脈基部及び心室中隔パッチ、左室流出路圧格差46mmHg、右室流出路圧格差55mmHg、軽度の機械弁弁尖動作不良、高度に拡大した大動脈基部(60mm)を認めた。胸部CT 検査では高度に石灰化し退縮した右室流出路パッチと高度に拡大した大動脈基部を認めた。以上により、大動脈弁再置換を伴う大動脈基部置換術および右室流出路狭窄解除術の適応と診断された。 【手術】再手術は胸骨再正中切開、常温人工心肺使用下に行った。大動脈遮断後に上行大動脈を離断し冠動脈ボタンを採取すると、コンノ手術時のパッチは著名に石灰化しており、機械弁周囲には多大なパンヌス増生が見られた。機械弁はコンノ手術時の心室中隔パッチから一部離開しており、傍機械弁逆流部と思われた。機械弁および古いパッチはわずかな心室中隔への吻合部を残して全切除し、ウシ心膜パッチにてコンノ法による心室中隔形成および大動脈弁輪拡大を再施行した(redo-Konno)。再拡大した大動脈弁輪に25mm On-X 機械弁および 28mm バルサルバ洞付き人工血管で作成したコンポジットグラフトを逢着し冠動脈ボタンも保着することにより、大動脈基部置換を施行した(Bentall)。最後に心室中隔に逢着したウシ心膜パッチを翻転させ右室流出路に逢着する事により右室流出路を拡大し、手術を終了した。患者は術翌日に抜管され術後2 日目にICU 退室。術後23 日目に独歩退院となった。術後の心エコーでは大動脈弁位機械弁の機能良好、傍機械弁逆流なし、左室流出路狭窄なしの所見で、造影CT 検査では良好に再建された大動脈基部が見られた。現在、外来通院中である。 【結語】ベントール・コンノ再手術法は、コンノ手術後の大動脈基部拡大を伴う傍機械弁逆流または類似した状態に対して、優れた方法だと思われた。 |