セキグチ ハルキ   SEKIGUCHI Haruki
  関口 治樹
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   准教授
言語種別 日本語
発表タイトル 心不全治療前後に心エコーガイド下で ASV の至適圧設定を行い,ASV が心不全代償に有効であった重症心不全の二症例
会議名 第67回日本心臓病学会学術集会
主催者 日本心臓病学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 ポスター掲示
講演区分 一般
発表者・共同発表者◎田中友佳子, 谷野紗恵, 関口治樹, 芹澤直紀, 鈴木真由美, 新井光太郎, 志賀剛, 萩原誠久
発表年月日 2019/09/15
開催地
(都市, 国名)
名古屋市
概要 *一般演題(ポスター):ケースから学ぶ 13
症例報告 心不全(2)

背景:慢性心不全に対する Adaptive Servo Ventilation(ASV) は中枢性無呼吸を伴う心不全の治療に有用な device と期待されたが,SERVE-HF trial において ASV の有効性は示されなかった.原因に過剰な PEEP による血行動態悪化が考えられ,今回重症心不全に対して心エコーガイド下で心拍出量をモニタリングしながら,ASV の至適圧設定 (titration) を行い有効であった症例を経験したので報告する.

方法:心不全の増悪で入院となった重症心不全症例を対象とし,心不全治療前後に ASV の titration を行った.この titration は,EPAP 値を変更しながら左室流出路の時間速度積分値の測定により,心拍出量 (SV) を比較し最大 SV が得られる至適 EPAP 値を決定した.

症例 1:50 歳男性陳旧性心筋梗塞による低心機能で CRTD の植え込みを行うも,左室駆出率は 10 % で,心移植登録を行った症例.入院時の ASV titration では EPAP 6 mmHg で最大心拍出量 (SV=37) となり至適 EPAP 値は 6 mmHg とした.入院中に CRTD の設定変更や残存病変に対して PCI を行い,退院時には至適圧は EPAP 4 mmHg で (SV=51) となり設定変更を行った.

症例 2: 65 歳男性拡張型心筋症の症例.心エコー図検査では重度の僧帽弁逆流を認め左室駆出率 25% であり短期間に 2 回心不全の入院を繰り返したため ASV を導入しその後,僧帽弁逆流症に対して,経皮的僧帽弁形成術 (Mitra clip) を施行した.入院時の titration では EPAP 6 mmHg で最大心拍出量 (SV=28.6)となったが,Mitra clip を施行後,僧帽弁逆流の程度が重度から中等度に改善したことで,前負荷の減少により EPAP 6 mmHg では心拍出量はむしろ低下傾向 (SV=40.2) で至適圧は EPAP 4 mmHg にて SV=42.2 に変化した.

結語:重症心不全症例では ASV の EPAP 値により SV は変化する事がわかった.特に同一症例においても心不全の状態や治療前後で,至適 EPAP 値は異なりエコーガイド下の ASV titrationは重症慢性心不全患者の治療に有用な可能性があるかもしれない.