キクチ ノリコ   Kikuchi Noriko
  菊池 規子
   所属   医学部 医学科(東京女子医科大学病院)
   職種   講師
言語種別 日本語
発表タイトル 終末期重症心不全の多様性を考慮した緩和ケア実践の検討
会議名 第67回日本心臓病学会学術集会
主催者 日本心臓病学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎中澤まゆい, 鈴木敦, 菊池規子, 服部英敏, 志賀剛, 萩原誠久
発表年月日 2019/09/15
開催地
(都市, 国名)
名古屋市
概要 *シンポジウム 17
循環器疾患の終末期と緩和医療

循環器疾患の終末期医療の現場では病態だけではなく,思想や社会環境も個々に異なり,多様性に富んだ心不全患者に遭遇する.当科で経験した終末期重症心不全例に対するアプローチ方法の展開について検討した.
虚血性心筋症を基礎疾患とし,カテコラミン依存状態となっていた 57 歳の男性は移植適応外と判断された.その後,心室頻拍による植込み型除細動の頻回作動と心肺停止に対する心肺蘇生,大動脈バルーンパンピング (IABP) を含めた補助循環装置の使用を余儀なくされ,数ヶ月に渡り退院が困難となっていた.様々な合併症や社会的課題を抱えながらも,残された治療選択肢があれば希望したいという明確な意思を示していた.医師を含めた多職種によるアドバンス・ケア・プランニング (ACP) を通して意思決定支援を行ない,最終的に自己骨格筋由来細胞シート移植術を行うに至った.陳旧性心筋梗塞を基礎心疾患とし,20 年以上に渡り心不全治療を続けてきた 77 歳の女性は,病期の進行とともに低心拍出量症候群による入退院を繰り返すようになり,心不全終末期と判断された.心不全増悪時には IABP が有効性を示したものの,侵襲的治療を望まないという意思を示すようになった.早期からの ACP を行うことで,患者と家族が望む治療と生き方を医療者が共有し,在宅医療につなげることができた.
心不全の終末期は病状・病期に即した最適な治療を模索し続けるとともに,様々な背景を有する患者・家族の価値観や死生観を反映させてゆけるよう,全人的ケアが必要と考えられる.そこには様々な視点からの評価が必要であり,循環器科医だけでく,精神科医,看護師,臨床心理士,ソーシャルワーカーなど多職種との綿密な連携が重要と考える.