タナカ カズキ   Tanaka Kazuki
  田中 一樹
   所属   医学部 医学科(附属八千代医療センター)
   職種   助教
言語種別 日本語
発表タイトル 透析患者の冠動脈形成術後の血栓性および出血性イベントの発生予測における PARIS score ならびに CREDO-Kyoto score の有用性の検証
会議名 第67回日本心臓病学会学術集会
主催者 日本心臓病学会
学会区分 全国規模の学会
発表形式 口頭
講演区分 シンポジウム・ワークショップ パネル(公募)
発表者・共同発表者◎田中一樹, 重城健太郎, 海老原卓, 大槻尚男, 中尾優, 山口淳一, 萩原誠久
発表年月日 2019/09/14
開催地
(都市, 国名)
名古屋市
概要 *シンポジウム【徹底討論】 2
末期腎不全患者の心臓病に挑む

背景:PARIS score と CREDO-Kyoto score は,経皮的冠動脈形成術 (PCI) 後の血栓イベント,出血イベントを予測する臨床スコアであるが,透析患者のみでそれらの有用性を検証した報告は存在しない.

方法:2010~2015 年に当院で PCI を施行し,薬剤溶出性ステントを留置した透析 237 症例を,PARIS score と CREDO-Kyoto scoreを用い,血栓および出血イベントスコアの low 群,intermediate 群,high 群に分類し,平均観察期間 1,012 日での血栓および出血イベントの発生を観察.血栓イベントは PARIS score では心筋梗塞とステント血栓症の複合エンドポイントとし,CREDO-Kyoto scoreではさらに脳梗塞を加えた複合エンドポイントとした.

結果:PARIS score,CREDO-Kyoto score とも高スコアに偏り,患者数は PARIS score では血栓スコア low 群 (≤2, n=22), intermediate 群 (3-4, n=68), high 群 (5≤ score, n=147),出血スコア low 群 (≤3, n=12), intermediate 群 (4-7, n=83), high 群(8≤ score, n=142),CREDO-Kyoto score では low 群は存在せず,血栓スコア intermediate 群 (2-3, n=48), high 群 (4≤, n=189),出血スコア intermediate 群 (1-2, n=60), high 群 (3≤, n=177) であった.Kaplan-Meier 分析の結果,PARIS score では血栓および出血イベントの発生率に有意差はなく (血栓イベント: 0%, 3.5%, and 8.4%, p=0.22; 出血イベント: 0%, 5.2%, and 5.4%, p=0.40),CREDO-Kyoto score も同様に有意差は認めなかった (血栓イベント: 5.1% and 5.1%, p=0.85; 出血イベント: 2.6% and 2.4%, p=0.95).また,今回の患者群で多変量解析を行なうと,血栓イベントの予測因子として急性冠症候群に対する PCI,Body Mass Index 低値が残った.出血イベントに関してはいかなる因子も残らなかった.

結語: PARIS score,CREDO-Kyoto score とも,透析患者の血栓および出血イベントの予測に有用でないと考えられた.透析患者の予後を予測しうる他の因子の存在が示唆された.